2005年11月4日(金)「しんぶん赤旗」

全戸訪ねて憲法守る署名

有権者5割へ前進中

高知「とさしみず九条の会」


 カツオの一本釣りで知られる高知県土佐清水市の「とさしみず九条の会」が、年末までに有権者の半数、七千六百四十八人の憲法改悪反対署名を集めようと運動しています。現在、約四千人分が集まっており、目標の50%を超えました。(藤原義一)


地図

 自民党が憲法九条を変え「自衛軍」の創設を明記した改憲草案を発表した二十八日以降、同会はあらためて署名行動を強めています。

 同日、署名の協力を訴えた女性は「アメリカのいうことばかり聞くがやねー。怖い」といっていました。太平洋戦争で兄弟が三人戦死したといいます。五人記入の署名用紙を五枚あずかってくれました。

 全戸訪問を終了した地区(全地区六十七)は十六カ所になりました。

 署名運動では「憲法の改悪に反対し、九条を守り、平和のために生かすことを求めます」と明記した同会独自の署名用紙を使っています。九条全文つきです。

 会員たちを行動にかりたてているのは「日本をアメリカと一緒になって戦争をする国にしてはいけない」という思いです。

 「とさしみず九条の会」代表の一人、上杉利則さん=市身体障害者連盟会長、元小学校校長=は「平和、自由の必要性を身にしみて感じています。教え子を戦場に送らないために九条を守らなくては」と話します。

 上杉さんは高知海軍航空隊の飛行術練習生でした。爆弾に似せたものを持って潜伏している姿勢から戦車のキャタピラーに飛び込む訓練をしている中で終戦を迎えました。若い人たちにも、こうした体験を語りながら署名を集めています。

 元無所属市議の山田泉さん(足摺岬地区)は「六十年いろんな運動をやってきて、こんなに感謝されたことはない」といいます。「家を飛び飛びにいくと『あそこにはいって、うちにはこん』といわれるので順に全戸をまわっています」

 「一九四四年、十五歳の時に海軍を志願し特別攻撃にも参加し戦争の惨めさを知りました。平和を守っていくのが私の使命です」と山田さんは話します。署名を訴えると手を合わさんばかりに「お世話になります」という人もいます。三百六十人に署名をしてもらっています。

■学習が運動の力に

■9条署名持ち訪問 高知

 とさしみず九条の会は、七月、十月と署名簿を集約する会議を開きました。この会議で地区別の署名の集まりぐあいを確かめ合い、過半数へ推進のために必要な手だてを検討しています。

 上杉さんの住む市中心部では十月二十六日、対策会議を開き、署名を集めてくれそうな人を四十三人リストアップ。順次、訪問し署名用紙を二枚、三枚、五枚とあずかってもらっています。

 訪ねた先で相手から「軍備がないと、いざというときにはいかんじゃいか」などの疑問にもぶつかります。

 上杉さん、山田さんたちは軍隊はもたないという憲法九条があるから一人も外国人を殺さず、日本人も死ななかったことなどを伝えています。

 同市の三崎地区では「三崎九条の会」を六月十日に結成して、署名推進体制を強化。十月三十日には「憲法を守る!! 学習会」を開きました。

 同会事務局長の中野学さん=元小中学校長=は、国民学校四年生のときアメリカ軍の三崎への空襲を体験しました。「学習をすることは運動をより確かなものにします。署名運動にとりくむ人を増やし、たとえ国民投票になっても確固たる自信と確信を持って改悪反対ときちんと意思表示する人を多くしたい」と語ります。

 ●とさしみず九条の会 呼びかけ人九十四人、参加者八十四人で三月二十一日に結成。代表に十六年間市長を務めた矢野川俊喜さんをはじめ、畝崎(うねざき)桃代・連合婦人会会長、弘田浩三シルバー人材センター理事長ら九人、事務局長に沖屋満・元幡多教職員組合組合長などを選出しました。町内会単位で憲法改悪反対署名を集約するため市内四十カ所に地区、部落、町の地区連絡員を選出しました。


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