2005年11月1日(火)「しんぶん赤旗」

イラク 民間人次つぎ犠牲に

米軍爆撃、武装勢力も応酬


 【カイロ=小泉大介】国民投票での憲法草案承認を受け、十二月実施予定の総選挙に向け各政治勢力が動き出しているイラクで、米軍と武装勢力の応酬が続き、治安悪化が改めて懸念されています。


 イラク駐留米軍は三十一日未明、シリアとの国境に近い西部のカイム近郊の民家を空爆しました。米軍はアルカイダ幹部を狙った攻撃だとしていますが、カイムの医療関係者は子どもを含む四十人が死亡し、二十人が負傷したとしています。

 米軍は三十日にも、イラク西部のシリア国境に近いフサイバで軍事攻撃を行い、「武装勢力」十人を殺害したと発表しました。しかし、カタールの衛星テレビ・アルジャジーラは同日、現地ジャーナリストの話として、多数の民家や商店が破壊され、死亡したのはすべて民間人だと伝えました。

 米軍は二十九日、首都バグダッド北方のタジを戦闘機や武装ヘリを動員して攻撃、五百ポンド爆弾で、武装勢力六人を殺害しました。西部ラマディでも同日、三人を殺害しています。

 バグダッドでは三十日、アブドルマフディ副大統領の兄弟で移行政府顧問を務めるガリブ・アブドルマフディ氏の車が武装勢力の銃撃を受け、同氏を含む二人が死亡しました。さらに同日、バグダッド中心部でも、ハッサン貿易副大臣の乗る車が攻撃され、警護員二人が死亡、副大臣自身も負傷しました。

 二十九日には中部バクバ近郊で自動車爆弾で住民三十人が死亡し、四十人以上が負傷しました。ロイター通信によると、犯行に使われたトラックにはラマダン(断食月)の日没後の食事に欠かせないナツメヤシが積まれ、それを買おうと人々が集まったさいに爆発しており、テロの手口が残虐さを増していることを示しました。

 武装勢力による米軍への攻撃も連日のように発生、米軍によると、三十日にもバグダッド近郊での道路脇爆弾攻撃で兵士一人が死亡しました。憲法草案承認発表の二十五日から三十一日までの間に米兵二十二人が死亡。一昨年三月のイラク戦争開戦以降の米兵死者は二千二十四人に達しました。


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