2005年10月28日(金)「しんぶん赤旗」

電力公社の一部民営化へ

フランス

エネルギーの将来不安

労組・野党は反発


 【パリ=浅田信幸】フランスのドビルパン首相は二十四日、欧州の電力最大手である公営企業、仏電力公社(EDF)の株式を発行し、一部民営化に着手することを明らかにしました。野党や労組は、完全民営化の突破口となり公共サービスの基本が危うくなるといっせいに反発しています。


 新株発行は七十億ユーロ(約一兆円)規模で、これにより政府の保有比率は85%に下がります。欧州連合(EU)の市場自由化方針を背景にして、民間資本導入で経営の効率化をはかり、あわせて財政赤字を補てんするというものです。

 しかし、電力民営化が進んだ米国、英国、イタリアでは、短期的な収益が追い求められ、送・配電線の保守がないがしろにされたために広域にわたる長期の停電事故を起こした例があり、仏国民の間には民営化に根強い反対論があります。

 社会党のオランド第一書記は民営化着手を「重大な経済的、政治的誤りだ」とし、次期選挙で政権を奪い返した場合には再国有化をはかると宣言。共産党のボケ国会議員団長も「国家に支えられることで、株式市場での略奪と株主のどん欲に屈することなく発展が可能だ」とのべ、民営化計画の放棄を要求しました。

 EDFの最大労組である労働総同盟(CGT)は「戦略部門の放棄」につながり、「エネルギーの将来が脅かされる」と批判。別の労組「労働者の力」(FO)と共同してストライキを含む抗議行動を呼びかけました。

 政府は批判に配慮し、EDFとの間で「公共サービス契約」に調印。五年間に電力生産・供給の確実性を向上させるため四百億ユーロを投資し、料金を払えない貧しい世帯の電力カットを冬季に行わないことなどを明らかにしました。

 EDFは欧州の全電力の四分の一を生産し、従業員十六万人を抱えた大企業。フランスでは二〇〇二年のフランステレコム以来の大型民営化となります。


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