2005年10月27日(木)「しんぶん赤旗」

けいざい??

定率減税廃止って何ですか

サラリーマン増税編 (上)


グラフ

 Q 所得税・住民税の定率減税廃止って何ですか。

 A 小泉内閣が狙っているサラリーマン増税の一つです。

 谷垣禎一財務相は、二十三日のテレビ朝日系番組「サンデープロジェクト」に出演し、「景気もだいぶ良くなってきたので、今年の後半も(残っている)半分(の廃止)もやらないといけない」と、定率減税の全廃方針を明言しています。

 二〇〇六年度税制「改正」で全廃を決め、〇七年一月から所得税、同年六月から住民税の定率減税を全廃しようとしています。

■世帯状況を考慮

 Q 定率減税って、どんな減税なんですか。

 A 給与収入や年金収入など、収入の大きさに応じて税負担を求めるものが、国税では所得税であり、地方税では個人住民税です。

 しかし、所得税・住民税は、サラリーマンの年収や年金生活者の年金収入そのものに、直接課税されるのではありません。各世帯の状況に応じた必要経費(給与所得控除や公的年金等控除)を考慮し、差し引いて所得額を計算。ここからさらに、世帯の状況を考慮した配偶者控除や扶養控除などを差し引いたもの(課税所得)に税率を掛け、税額を算出します。

 定率減税とは、こうして計算された税額から、現行一律20%(住民税は15%)を減額するというものです。所得税・住民税額は、世帯の状況によって税金から差し引かれる控除の項目が異なるため、同じ年収でも、配偶者がいるかどうか、子どもがいるかどうかなどで、減税額は異なります。

 〇五年度税制「改正」によって、〇六年一月から軽減される割合が10%に半減(住民税は同年六月から同7・5%に半減)することが決まっています。

■景気対策の一環

 Q いつ始まったのですか。

 A 一九九九年度です。当時は、バブル崩壊後の長期不況に加え、消費税増税や医療改悪など橋本内閣による九兆円の負担増などによって景気が低迷していたため、景気対策の一環として導入されました。

 同じく景気対策として、所得税の最高税率の引き下げや、法人税の税率引き下げも導入されています。

 家計は依然として低迷し、一部大企業だけが空前の大もうけをしているのに、小泉内閣は「景気もだいぶ良くなってきた」(谷垣財務相)として、定率減税だけ全廃して、庶民に増税を迫ろうとしています。大企業や大金持ちにたいする減税は、そのままです。

■低所得は負担増

 Q 定率減税を廃止すると、所得の低い人ほど負担が重くなるというのは本当ですか。

 A 算出税額から定率で税額を減額する減税策ですが、所得税で最高二十五万円、住民税で最高四万円の上限があります。そのため、定率減税の全廃による負担増は、どんなに高額な所得者でも最高二十九万円の増税にとどまります。

 したがって、高額所得者ほど、その負担増の影響は小さくなります。

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