2005年10月25日(火)「しんぶん赤旗」

主張

国連分担金削減要求

日本の信用を低下させるだけ


 国連は、二〇〇七年から三年間の分担金比率の審議を始めました。日本の小沢俊朗国連代表部次席大使は、米国以外の安保理常任理事国四カ国の負担の合計を超える分担金を負担している日本が「常任理事国の地位を与えられていない」とのべ、「支払い能力がより良く反映される制度」を要求しました(十月十七日 総会第五委員会)。これは、日本の常任理事国入りを認めないのなら分担金の削減もありうるとした町村外相の総会一般演説の具体化です。

 分担金を常任理事国入りと直結させるやり方は、日本の国際的信用を低下させることになります。

■行き詰まりの原因

 国連分担金は、その国の国民総所得(GNI)の国際比率に比例させることを基本に、発展途上国の負担軽減分を経済大国が分担するなど国際合意の算出方法で決定されます。

 二〇〇三年から三年間の分担率は、二〇〇〇年の改定の際、日本政府が提起した算定方法によって決められています。このとき、GNI一位のアメリカは22%、二位の日本は19・47%(〇五年は約三百七十億円)になりました。

 当時の国連大使だった佐藤行雄日本国際問題研究所理事長は、「アメリカが25%から22%に下げるときに、われわれも1%下げた。…われわれのやったことは計算方式を変えてもらったんです。この提案を途上国が全部彼らの負担において支持してくれた」(〇三年五月八日 衆院憲法調査会小委員会)とのべています。

 安保理常任理事国入りを認めなければ分担金の削減を求めるというやり方は、分担率の決定過程からしても、世界から身勝手と批判されても仕方がありません。

 日本は、憲法九条を持つ国として、軍事的役割を負わない約束で国連に加盟しました。国連分担金や政府開発援助(ODA)など軍事以外の分野で、積極的な役割を果たし、世界の平和に寄与することを目指していたはずです。六十年前の国連の発足と日本が加盟したときの原点、初心を忘れるべきではありません。

 日本の常任理事国入りが支持されないのも、侵略戦争を根本から反省しない政府の態度に主な原因があります。侵略戦争を正当化する靖国神社に、小泉首相が五回も参拝し、アジアの人々の心を傷つけていることは、その典型です。

 米国防次官補として日米安保再定義を主導したジョセフ・ナイ米ハーバード大教授は、「過去を否定しようとする日本の行動にいら立ちを感じる国があるなら、国連総会で(日本の常任理事国入りに)反対票を投じるだろう」とのべました。米下院のハイド外交委員長(共和党)は、加藤駐米日本大使に送った書簡で、アジア各国の批判で「域内の各国が建設的な対話をすることができなくなれば、日米両国にとって利益にならない」と警告しています。

 日本、ドイツ、イタリアがおこした侵略戦争への反省のうえにつくられた国連の基礎をくつがえすような小泉政権の外交は、世界のどの国からも支持されません。

■憲法生かした外交に

 侵略戦争の反省にたって制定された日本国憲法は、戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認を明記しています。これは、国連憲章が義務付けた国際紛争の平和的解決の原則を、より徹底させた平和原則であり、国際的に注目されています。

 日本が、憲法を生かした外交を積極的にすすめることがアジアと世界の信頼を得るたしかな保障です。


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