2005年10月24日(月)「しんぶん赤旗」

「平成電電」破たん

子どもの進学資金消えた

直前まで「高利」で金集め


 「こつこつためた貯金を投資したのに、だまされた…」。経営破たんした通信ベンチャー「平成電電」(東京・渋谷区)の電話サービス事業に出資した個人投資家から怒りの声があがっています。配当金は停止、集められた資金も返されない危険が高まっているからです。一般の出資者一万九千人、出資金総額は四百九十億円。「倒れると分かっていながら、出資金をかき集めたのでは」との声が本紙にも寄せられています。(鮫島克)


 平成電電は三日、東京地裁に民事再生法の適用を申請しました。負債総額は九月末時点で約千二百億円。同社は、二〇〇三年七月から格安固定電話サービス事業「チョッカ」を始めましたが、思うように契約がとれず、通信施設の先行投資が重荷になったとしています。

 同社の破たんで大打撃を受けるのが、匿名組合方式で出資した個人投資家です。

 同社は、申請する直前まで別会社の「平成電電設備」(東京・千代田区)、「平成電電システム」(同)の二社を通じ広く資金を集めました。最後の出資金募集は、破たん三日前の九月三十日まで行われていました。

 「平成電電匿名組合―予定分配率10%」と新聞などの広告で宣伝。二〇〇三年九月から二〇〇五年九月まで一口・百万円で資金を集めました。

 両社は平成電電と資本関係はないとしています。しかし、両社は通信設備を購入して平成電電にリースし、リース料から配当金をねん出。事実上、一体の関係です。

■連日大手紙に広告

 「十年間、つめの先に火を灯すようにためてきたお金なのに…。ひっかかった自分が情けない」。こう嘆くのは六口、六百万円を出資したAさん(45)。

 子どもの大学進学の資金を増やしたいと考えていたAさんは、平成電電匿名組合の新聞広告に目を奪われました。連日のように「年利回り10%」と宣伝しているのを見て、資料を請求。大手紙に載った広告だったので信用してしまいました。

 資料として送付されたパンフレットなどには、加入者数や売上高が毎年のびていることが強調されていたため、リスクは感じませんでした。

■金融庁責任を否定

 Aさん宅に、二社連名の「ご報告」と題した一通の手紙が八日に届き、「苦渋の決断ではございますが、十一日以降、毎月の配当金のお支払いを見合わせて頂きました」と知らせてきました。

 平成電電は三日、代理人の弁護士の記者会見で、出資金は二社が募集したとし、返還義務が同社にないことを強調しました。

 所管の金融庁市場課市場企画係は「投資はあくまでも企業と投資家それぞれの判断」といいます。「広範囲にいわゆる『被害者』がいるのは、決してこのましい状態とはいえない」としながらも、「出資回収の対応は金融庁に権限がない」と責任を否定します。結局“だまされた方が悪い”といわんばかりです。

 平成電電の匿名組合を運営している二社は本紙に、「折り返し担当者に電話させる。いつになるか約束できない」などと回答します。

 Aさんは訴えます。「最初から、データ通信のようなものに疎い私のようなシロウトを狙ったのでしょう」


■宣伝手法の問題大きい

 匿名組合契約に詳しい桜井健夫弁護士の話 今回のケースでは、新聞広告などでの宣伝手法の問題が大きい。誤認や誤解をされやすい、リスクがちゃんと投資家に伝わりにくいのが問題です。匿名組合の事業者と現実の事業者が別になっているのも大きな問題です。昨年改正された証券取引法では、匿名組合の一部を対象に入れましたが、今回のようにリース業を行う匿名組合は規制の対象になりません。いま金融庁で、広く投資行為に共通ルールを決める投資サービス法が検討されています。「もれのない法律」をつくって、今回のような事件が起こりにくくすることが必要だと思います。


▼匿名組合

 投資家(匿名組合員)が企業(営業者)の事業のために出資して、利益が生じた場合に分配を受け取るという、商法で規定された契約形態のこと。事業が失敗した場合は、出資額を上限に損失をかぶることになります。匿名組合員は、営業者の商号にも名前が表れない「匿名」と呼ばれます。最近は、映画製作や風力発電など幅広く匿名組合を使った出資が行われています。


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