2005年10月13日(木)「しんぶん赤旗」

2050年には90億人に

15年までの貧困半減がカギ

世界人口白書 ジェンダーの平等強調


 家族計画など発展途上国での人口政策への援助、人口関係統計の収集と分析を実施している国連人口基金(UNFPA)は十二日、二〇〇五年版『世界人口白書』を発表しました。

 『白書』は推計で世界の人口が、二〇〇五年には六十四億六千四百七十万人、二〇五〇年には九十億七千五百九十万人になると予測しています。

 『白書』はこうした大幅な人口増のもとで、二〇〇〇年の国連ミレニアム・サミット(百八十九カ国参加)で合意された二〇一五年までに、世界中の貧困を半減するという「ミレニアム開発目標」の実現が求められているとしています。

 そして、「貧困を減らし、人びとの生命を救い、くらしを向上させるためには、ジェンダー(社会的文化的性差)の平等とリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖にかんする健康・権利)が欠かせない」と強調しています。

 リプロダクティブ・ヘルス/ライツとは、子どもを産むかどうか、産むならばいつ、何人産むかを女性が自分で決めて選択できる権利をさします。

 『白書』は、世界中の女性と子どもをめぐる深刻な現状を次のように列記しています。

 ▽妊娠に関連する合併症で毎年五十万人以上の女性が死亡し、八百万人以上が生涯に及ぶ障害を負っている▽妊産婦死亡の99%が途上国で起き、その件数の95%をアジア、アフリカで占めている▽世界全体で二億百万人の女性が、効果的な避妊法を利用できないでいる▽途上国だけでも毎年約七千六百万件の望まない妊娠が生じている▽アジアでは出生前の性の選別、乳児殺害、育児放棄のために少なくとも六千万人の女児が「消失」している▽現在HIV(エイズウィルス)感染者四千万人のほぼ半分は女性である。

 『白書』は、これらの実情打開のために、教育の機会均等、男女賃金差別の解消、目に見えない女性の労働への正当な評価、資産や資源の平等な配分、女性の政治参加促進を「男性と手を結んで」すすめようと訴えています。また、全世界の軍事費支出と比べてはるかに少ない途上国への開発援助を大幅に増額すべきだとしています。


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