2005年10月12日(水)「しんぶん赤旗」

第四回中央委員会総会

志位委員長の幹部会報告


 日本共産党は十日、東京の党本部で第四回中央委員会総会を開きました。志位和夫委員長がおこなった幹部会報告、結語は、次の通りです。

 みなさん、おはようございます。衛星通信をご覧の全国のみなさんにも、心からのあいさつを送ります。私は、幹部会を代表して、第四回中央委員会総会にたいする報告をおこないます。

■一、総選挙の総括と教訓について

 まず、総選挙の総括と教訓について報告します。

■総選挙の結果と、選挙総括の二つの基本的角度

 今回の総選挙で、日本共産党は、改選前の九議席を確保し、比例代表選挙で、前回よりも得票率を若干減らしましたが、得票を三十三万票のばし四百九十二万票を獲得しました。私は、ご支持いただいた有権者のみなさん、猛暑のなか、奮闘してくださった支持者、後援会員、党員のみなさんに、心からのお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 小泉・自公政権は、総選挙の争点を郵政問題一本にしぼりこみ、「改革を止めるな」と叫びつづけることによって、今日の政治の深刻な閉塞(へいそく)状況の打開をねがう国民のなかに期待感を広げ、議席では三分の二をこえる圧倒的多数を確保しました。しかしそれは、第一党有利に民意をゆがめる小選挙区制によるものであり、自公両党の得票はあわせても約半数にすぎません。しかもそれは、首相が唯一最大の争点とした郵政問題で国民に真実を語らず、庶民大増税と憲法改定という重大な争点を隠し、ウソとごまかしで塗り固めてえた結果にほかなりません。今後、暮らしと平和を壊す動きがさらに進行するなかで、国民との矛盾は鋭くならざるをえないでしょう。

 圧倒的多数の議席をえた小泉・自公政権が、庶民大増税、憲法改定など政治の反動的暴走をすすめる危険が強まり、議席を大きく後退させた民主党が同じ流れのなかで「改革を競い合う」立場を鮮明にするもとで、この暴走から日本の平和と主権、国民生活と民主主義をまもる社会的反撃と国民のたたかいは、いよいよ切実なものとなっています。そのなかで、「たしかな野党」・日本共産党が果たすべき役割は、きわめて重大であります。わが党は、国民的なたたかいのなかで、また新しい国会で、この選挙でかかげた「野党としての公約」を実行するために、全力をつくすものです。

 投票日の翌日に発表した常任幹部会の声明「総選挙の結果について」にたいして、全国から共通して二つの感想がよせられました。

 圧倒的に多くのみなさんから、「『善戦・健闘』という評価は、たたかった実感からいってもぴったりくるし、確信がもてる」という声がよせられました。

 同時に、「目標とした議席増、議席獲得が果たせなかったのは悔しい」ということも、多くのみなさんの共通の気持ちとして、報告されています。

 「確信がもてる」、同時に「悔しい」。二つの感想のそれぞれが、重要な感想だと思います。

 「善戦・健闘」という結果を全党の深い確信にすること、同時に今回の結果に甘んぜず、本格的な前進のために何が必要かを明らかにすること――この二つの角度から、選挙戦の総括と教訓について報告します。

■難しい条件のもとでの「善戦・健闘」を全党の確信に

 まず総括の第一の角度――「善戦・健闘」という結果を全党の深い確信にするということについて、報告します。

 今回の選挙結果をみるうえで、この選挙がどういう客観的条件のもとでのたたかいだったのか、わが党がそれにどうたちむかったのか、その全体をとらえることが大切であります。

■この選挙は、どういう条件のもとでたたかわれたか

 まず、この選挙は、どういう条件のもとでのたたかいだったのかという問題です。

 この選挙は、小泉首相による、異常な「奇襲攻撃」の選挙としてはじまりました。選挙後の報道で、首相が一年も前から、郵政民営化法案が否決された場合の解散を決意していたこと、それをごく一部の側近以外にはだれにも伝えず、解散・総選挙にむけた計画を周到に練り上げていたことが、明らかになっています。

 解散後は、首相を先頭にして、郵政民営化を「改革」の象徴に仕立て上げつつ、選挙の争点を「郵政民営化に賛成か、反対か」の一点に極度に単純化し、「改革を止めるな」と絶叫するキャンペーンを、投票日の前日までつづけました。

 この動きは、財界とマスメディアの全面的な後ろ盾をえてすすめられたものでした。すでに七月の段階で、日本経団連、経済同友会は、郵政民営化推進のための解散に、事実上のお墨付きをあたえる態度をしめしていました。小泉首相は、八月八日夜の解散直後に、日本経団連首脳と選挙支援に関する協議をおこない、日本経団連は、八月三十日に発表した「奥田会長コメント」でつぎの立場を公然とのべていました。

 「今回の選挙は、郵政民営化を突破口とする構造改革について、各党の姿勢を問うものである。改革を断行する政党が政権を担うべきである」

 こうして日本経団連は、一九九三年いらい十二年ぶりに自民党への事実上の支持を明確にして、全面的なバックアップをおこないました。マスメディアの報道は、全体として、郵政民営化推進一色に塗りつぶされ、「刺客」騒ぎを大々的にとりあげ、首相を「改革者」ともちあげるキャンペーンに終始しました。

 小泉首相の「奇襲攻撃」と、財界・マスメディアの総がかりの応援があいまって、強烈な「小泉突風」が吹き荒れました。これは共産党攻撃の「突風」でもありました。首相は、「改革を止めるな」のフレーズのなかで、民主党とともに必ず日本共産党の名をあげて、「改革への抵抗勢力」と攻撃しました。

 歴史的な危機とゆきづまりにおちいった自民党政治を延命させようと、小泉首相が周到に準備をかさねた奇襲作戦にのりだし、それを財界が総力をあげて支援したのが、今回の総選挙でした。「奇襲攻撃」と「小泉突風」――この二つの要素は、わが党の前進をはばむ難しい条件として働きました。

■わが党の主体的対応はどうだったのか

 それでは、これにたいするわが党の主体的対応はどうだったか。わが党は、この攻撃にたいして、全体として機敏に、積極・果敢に、攻勢的にたちむかいました。とくにつぎの点が重要でありました。

 ――第一に、小泉首相の「奇襲攻撃」の動きをみぬき、いち早くたたかう構えをつくりあげたことです。とくに八月三日に開いた都道府県委員長・選対部長・衆院予定候補者会議と、八月十九日に中央会場と各都道府県・地区委員会の三百六十の会場を衛星通信で結んで開いた党と後援会の全国決起集会は、大きな意義をもちました。これらは、解散・総選挙を「絶好の機会ととらえて勇んでたちむかう」という攻勢的な立場をつくりあげるとともに、総選挙の争点と意義をつかみ、中央と全国が心を一つにしてたちあがる決定的な転機となりました。

 ――第二に、政策・論戦では、「野党としての公約」を打ち出し、「たしかな野党」というキャッチフレーズをおしだしてたたかったことが、新鮮な共感と期待を広げました。この打ち出しは、「二大政党づくり」とのたたかいのなかで悔しい後退を余儀なくされた、この間の二回の国政選挙の教訓を生かし、現在の政治状況のもとでのわが党の存在と役割をリアルにおしだすものとなりました。この打ち出しはたたかいやすかった、訴えやすかったという感想が、全国からよせられました。わが党は、郵政民営化の本質が、日米財界の要求にしたがって、庶民への金融サービスを破壊するものであることを明らかにし、首相がまきちらした郵政問題のウソとごまかしを、正面から突き崩す論戦を展開しました。庶民大増税や憲法改定問題を争点におしあげていくうえでも、わが党の論戦は先駆的なものでありました。

 ――第三に、草の根の力が発揮されました。八月三日の全国会議では、八月中にすべての支部が会議をもち臨戦体制を確立しようとよびかけましたが、このよびかけにこたえて全党的に82%の支部が支部会議をひらき、自覚的なとりくみの方針をもってたちあがりました。地域・職場・学園や、各分野の後援会のみなさんも、緊急に会議をもつなどして、党と後援会一体のたたかう態勢がつくられました。「今度こそ勝ちたい」という熱い思いが、全国の草の根からわきおこったことを、私たちもともにたたかいながら感じました。公示までの音の宣伝は、猛暑のなか盆をはさむ条件のなかでも前回総選挙の同時期の一・六倍おこなわれています。対話と支持拡大でも前回総選挙の同時期を上回るとりくみがおこなわれました。これらは突然おこなわれることになった総選挙、そして複雑さや困難をともなったたたかいに、明るく不屈にたちむかう、日本共産党ならではの革命的気概を発揮したものでした。

 ――第四に、「比例を軸に」のとりくみの新たな前進がはかられました。多くの県、地区からの報告では、「比例を軸に」、比例票を一票一票積みあげるとりくみが、これまでになく自覚的・積極的にとりくまれたとのべられています。もちろんまだ改善すべき点は多々ありますけれども、これまでの選挙のなかでもっともここに力を入れてとりくむことができたという報告が多くよせられています。とくに、(1)「全国は一つ」の見地で、つながりを生かした対話・支持拡大のとりくみが前進し、このとりくみのなかで職場支部も大きなエネルギーを発揮しました。(2)また、比例ブロックごとにそれぞれの定数と政治目標、たたかいの現状と方向を、わかりやすく打ち出す努力がはかられました。(3)さらに、「有権者は二票もっている」と訴えて、小選挙区で支持がえられない場合でも、比例の支持を獲得するための意識的なとりくみがはかられました。これらは今後に生かすべき大切な教訓であります。

 以上の四点の全体をつうじて、とりわけ強調したいのは、総選挙でわが党がえた得票と議席は、「小泉突風」に正面から対抗し、わが党自身の力――自力で「風」をおこして、積みあげたものだということです。自民党は大幅に議席を増やしましたが、それはもっぱらマスメディアを利用した「追い風」に頼ったものでした。マスメディアの「追い風」は、議席を大幅に減らした民主党をふくめて、他党にもさまざまな形で吹きました。「二大政党の選択」というキャンペーンもやられましたが、これは自民、民主双方への「追い風」として作用するキャンペーンです。しかし、わが党には、マスメディア的な「追い風」はいっさいありません。わが党のえた得票と議席は、まったくの自力で、とくに草の根の力によって、一票一票を積みあげた成果だということが、とりわけ重要であります。

 わが党のたたかいは、資金の面でも自力でおこなわれたということも、とくに強調したいと思います。他党が、政党助成金や企業・団体献金を湯水のように使ってCMや広告をうつなかで、わが党は、この面でも国民のみなさんに依拠したとりくみに力をつくしました。わずか一カ月あまりで十三億円をこえる選挙募金・供託金募金がよせられました。これはかつてない規模のとりくみとなりました。国民にのみ依拠した資金活動という点でも、わが党の活動は、政党ほんらいのあり方をつらぬいた、誇るべきものであることを、募金してくださった方々への感謝とともに報告しておきたいと思います。

 同時に、選挙費用・供託金をまかなうためには、ひきつづく募金の努力が必要であることをあわせて強調しなければなりません。とくに日本の供託金は、世界に類をみないほど異常に高く、しかも小選挙区で得票率が10%をこえないと没収されるという、少数政党を選挙そのものから締め出す反民主主義的な制度であることを広く伝え、募金活動を日本の民主主義をまもる活動としても位置づけ、いっそうの前進をはかることを訴えます。

 マスメディアの調査・報道によると、わが党がえた四百九十二万票の内訳は、共産党支持層からえた得票が約半数であり、残りは無党派層や他党派支持層からえた得票となっています。つまり、わが党は、「奇襲攻撃」と「小泉突風」が吹き荒れる超短期のたたかいで、党の基礎的な支持層をかためつつ、広く無党派層や他党支持層にも働きかけて、基礎的な党支持層の二倍程度まで得票を増やしたことになります。これを文字どおりの自力でやりとげたことを、全党の深い確信にしようではありませんか。

■小選挙区をたたかう新しい方針にもとづく実践について

 小選挙区の新しい方針にもとづくとりくみについて報告します。今回の選挙では、小選挙区での候補者擁立について、すべての選挙区での擁立をめざしながら、それを一律に義務づけず、各都道府県の自主的判断にゆだねるという新しい方針でのぞみました。

 突発的な解散という事態のもとで、全国の都道府県、地区委員会は、比例代表選挙での政治目標をいかにやりとげるかという立場から、小選挙区に候補者を擁立することの積極的意味、同時に供託金問題や体制問題などについても真剣に議論し、急速に擁立がすすみました。最終的に九割をこえる二百七十五の選挙区で候補者を擁立したことは、わが党ならではの積極性と戦闘性が発揮されたものでした。この果敢な擁立と、候補者を先頭にした奮闘は、きわめて大きな力を発揮しました。このたたかいぬきには、現有議席の確保、比例での得票増はありえなかったことは明白であります。

 候補者として選挙戦をたたかった同志のみなさんからよせられた感想を一つひとつ拝見しましたが、そこには立候補して歴史的政治戦をともにたたかったことへの喜びと誇りが、たくさん語られています。機関活動の条件、家庭の条件など、さまざまな困難をのりこえて立候補を決意し、奮闘した姿がつたわり、胸が熱くなるものでありました。ともにこの歴史的政治戦をたたかった候補者のみなさんに心からの敬意を表します。

 今回の選挙では、「比例を軸に」とは、小選挙区のたたかいを抑えることではない、それぞれの小選挙区での前進・勝利をめざすとりくみを、おおいに激励し、思い切って強める、そのなかで「比例を軸に」という方針を握って離さない、という方針を強調しました。このもとで全国的には、多くの候補者のみなさんからの感想でも、「比例選挙を正面にしながら、小選挙区のたたかいでも個性を生かして自由闊達(かったつ)にのびのびと活動できた」という声がよせられています。しかし、一部で、この方針が不徹底で、何人かの候補者から、小選挙区のたたかいを低めることで、比例を強調する傾向があったことへの改善の要望もだされています。これはしっかり受けとめて、今後に生かしたいと考えます。

 今回、小選挙区候補を擁立するにいたらなかった二十五の選挙区では、比例選挙一本で得票の前進をめざしてたたかうという新しい努力がおこなわれました。二十五の選挙区の選挙の結果は、前回よりも比例票を増やした選挙区が七、減らした選挙区が十八でありました。

 得票数をのばした選挙区では、候補者を立てられない分、比例で全県の先頭にたって頑張るという高い構えをしっかり意思統一して、宣伝活動でも組織活動でも奮闘して前進の成果をおさめています。これらは、小選挙区の候補者を立てられなくても、たたかいようによっては比例での前進が可能であることをしめしたものであります。そうした経験を確信にして、候補者を立てればもっと前進できる、党建設を前進させて次回は立てようという議論になっているところがいくつも生まれていることは、たいへん重要であります。

 なお、今回の選挙は、突発的な事態のもとでの緊急の対応となりましたが、今後の大きな方向としては、二中総の方針にたちかえって、「条件のあるところでは候補者を早く決め、系統的な日常活動で、有権者との結びつきを強め、要求にこたえる活動に積極的にとりくみ、党の支持を拡大し、積みあげていく」――この活動を、可能なところからはじめることが大切です。つぎの総選挙にむけて、日常的・系統的な活動の条件のある方々は、ひきつづき候補者として頑張っていただくことが大切です。候補者の自動延長ということはしませんので、各県はすみやかに小選挙区予定候補者としての手続きをとり、継続的に仕事にあたれるようにしていただきたいと思います。

■本格的な前進のために何が必要か

 つぎに総括の第二の角度――本格的な前進のために何が必要かということについて報告します。

 この総選挙で、私たちは、「すべての比例代表ブロックでの議席の獲得・前進」という目標を達成することはできませんでした。この結果を直視する必要があります。どうすれば国政選挙で、本格的な前進をかちとることができるか。このことを今回の選挙闘争をふりかえって、真剣に探求する必要があります。

 解散から投票日までの一月あまりのたたかいにかぎって、これをふりかえってみますと、私たちは、与えられた客観的・主体的条件のなかで、持てる知恵と力を発揮して、全体としては積極的な奮闘をしたといってよいと思います。

 わが党が「善戦・健闘」にとどまらず、本格的な前進をかちとるためには、日常的な党の活動の水準、党の実力の水準を、抜本的に高めることがもとめられると考えます。

 選挙戦のとりくみの独自の問題については、全国からよせられた意見をふまえ、ひきつづき総括と教訓をひきだす努力をすすめ、次期国政選挙の闘争方針に反映させることにします。

 ここでは、選挙戦のたたかいで痛感された、日常的な党の活動の水準、党の実力の水準にかかわる、二つの大きな問題にしぼって報告します。

■日本改革の方針を語るとりくみを、日常の活動として抜本的強化を

■――ここで共感と支持をつくってこそ、「たしかな野党」の訴えがより説得力をもつ

 第一は、わが党の新しい綱領がしめす日本改革の方針を、広く国民に語り、国民の多数の共感と支持をかちとるとりくみを、党の日常の活動として、抜本的に強めることが重要であるということです。

 今回の選挙の顕著な特徴は、「改革」という言葉が、洪水のように氾濫(はんらん)したというところにありました。小泉首相は、自民党は「真の改革政党」だと叫び、みずからを強力な「改革者」としておしだしました。「改革」の名ですすめられていることの実態は、私たちが選挙戦で批判したように、自民党政治の異常なゆがみを、あらゆる分野でいっそう極端にするものでした。たとえば経済政策では、日米財界の要求にそってすすめられた郵政民営化が象徴するように、従来の大企業中心主義の政治を極端にすすめる、いわば“財界直結の政治”への「改革」でありました。首相は、「既得権益の打破」を声高に叫びましたが、財界献金を受け取り、その見返りに財界の身勝手な要求を何でも受け入れる――“財界権益”という最大・最悪の「既得権益」には指一本触れようとしない、まさにまやかしの「改革」でありました。しかし、「改革」、「改革」という言葉の連呼が、あまりに先のみえない閉塞状態におちいった現状の打開を願う、多くの国民の切なる気持ちを、ある範囲でとらえたことも事実でした。

 わが党は、こういう状況のもとで、「野党としての公約」をかかげ、「たしかな野党」という打ち出しをおこないました。わが党は、このなかで、「改革」の名ですすめられていることが、庶民を痛めつけて財界をもうけさせる、従来の大企業中心主義をもっともひどくしたものであることを正面から告発し、この間違った政治に対決する党の立場を訴えました。「郵政民営化というのは大銀行の要求だ」――このズバリとしたわが党の指摘は、心ある人々から説得力のある指摘として受けとめられました。この方針が的確であったことは、選挙戦のたたかいそのものが証明しました。今後の国政選挙を展望しても、「二大政党づくり」の動きのなかでの党のおしだしとして、「野党としての公約」の方針を、さらに発展させることがもとめられます。

 同時に、「改革」というのならば、日本共産党こそ、自民党政治にかわる新しい政治をおこす方針・政策・展望を、日本の政党のなかで最も明確にもっている、現状の真の根本的改革をめざす政党であります。昨年一月の党大会で決定した新しい党綱領は、当面の日本の政治・経済・社会の民主的改革の大方向を打ち出しています。このような路線をもっている党はほかにありません。そして、綱領の大方向を、政策体系としてまとめあげたのが、これまでさまざまな機会に明らかにしてきた日本改革の方針です。今日の日本の政治の深刻な閉塞状態は、綱領にしめしているような、自民党政治の枠組みそのものを変える、根本的改革を強くもとめています。私たちが総選挙で訴えた「野党としての公約」の土台には、新しい党綱領と日本改革の方針があります。これを広く明らかにしていく日常の活動が大切であるということを、強調したいのであります。

 日本にもとめられているほんとうの改革とは何なのか、日本共産党はどういう日本をめざしているのか、日本共産党とはどういう党なのか――このことを広く国民に伝え、政治の根本的改革者としての日本共産党への期待と共感を広くつくりだしてこそ、「たしかな野党」という訴えが、より大きな説得力をもって国民の心に響くことになります。

 ただし、こうした日本改革の方針を広い国民に語る仕事というのは、短期の選挙戦のとりくみだけでやりきれるものではありません。党の日常の活動として、この仕事を抜本的に強めることが必要であることを、強調したいのであります。

 今度の選挙の論戦をふりかえってみましても、“財界直結の政治”へのいわば逆立ちした「改革」を、あたかも国民の利益にかなった改革であるかのように描く、逆立ちした議論が氾濫しました。「小さな政府」論、「官から民へ」論、「公務員の既得権益打破」論などなどであります。これらは、「小泉突風」をつくりだす土壌となりました。逆立ち「改革」論の土壌の上に「突風」が吹いたのであります。選挙戦の論戦をつうじても、これらの逆立ちした「改革」論の一つひとつを、根底から打ち破ることの重要性を、私たちは日々痛感しました。こうしたゆがんだ議論とのたたかいは、選挙戦の論戦のなかでもやったわけですが、これを根底から打ち破るためにも、自民党政治の枠組みを大もとから変えるわが党の日本改革の方針を広げることが、決定的な意義をもってくる、これは選挙戦をたたかった実感であります。

 新しい綱領と日本改革の方針を、国民的に広げるうえで、二中総決定で提起した「生きた言葉・生の声」で党を語る運動に、あらためて光をあて、それを今日的に発展させることを探求したいと思います。

 昨年の参議院選挙後、新しい綱領の学習は、これまでにない規模で広がっています。県・地区主催の綱領学習会は参加者が四万二千人をこえ、63%の支部で綱領学習会が開かれました。これが総選挙をたたかう大きなエネルギーとなったことは間違いありません。これをさらに発展させ、文字どおり「綱領、学ばざる支部・党員なし」をめざして、全党のとりくみに発展させようではありませんか。

 党内での綱領学習と並行して、「日本共産党はどういう日本をめざすのか」「日本共産党はどういう党か」について広く国民と語りあうとりくみを抜本的に強めたいと思います。すべての支部で、党を語る支部主催の懇話会、懇談会、演説会にとりくもうではありませんか。都道府県、地区段階、各分野、各層ごとのとりくみも、旺盛に展開しましょう。新しい綱領と日本改革の方針を、広く国民のなかで語っていくとりくみを、壮大な規模で発展させようではありませんか。

■国民と結びついた強く大きな党をつくることの重大性を、痛切に実感した選挙

■――党の基礎的支持層を広げることが、国政選挙での前進に不可欠

 第二は、国民と結びついた強く大きな党をつくる――党の実力をつけること、その緊急性、重大性を、痛切に実感した選挙だったということであります。

 この総選挙は、「党勢拡大の大運動」の途上で、たたかわれました。全国からの報告でも、「『大運動』にとりくんできたことが選挙戦の力になった」との声が多くよせられています。党員拡大は、五月から九月まで五カ月連続前進で、前回総選挙時を上回る勢力となり、各地で新入党員のみなさんが奮闘し、党の新鮮な活力を高めました。読者拡大では、四月から八月までの五カ月間に、二万一千の日刊紙、十二万七千の日曜版の新しい読者を増やし、読者拡大で対話をした人々は、二百数十万人にのぼると推定されます。「大運動」にとりくんできたことが、選挙戦にとっても大きな力となったことは間違いありません。

 同時に、この総選挙は、どんな条件のもとでも党が本格的な前進をかちとるためには、質量ともに党の実力が足らないことを、痛感した選挙でもありました。「しんぶん赤旗」の読者は、さきほどのべたような、拡大の努力はありましたが、前回総選挙時比で、日刊紙94・4%、日曜版93・9%と、後退をとりもどせないままの選挙となりました。党の活力という点でも、新しい綱領の学習、「党生活確立の三原則」などの努力がはじまっていましたが、多くの弱点を残したままの選挙戦となりました。すべての党員が参加する選挙戦への努力がはらわれましたが、選挙戦への活動参加は、多くの党組織で六〜七割台でした。

 「もっと数多くの読者がいれば」「もっと活力ある支部をつくりたい」など、質量ともの強大な党を築いていれば、もっと広く有権者に働きかけることができたし、そうすれば議席の前進にも手がとどいたということが、総選挙をたたかって各地からよせられた報告でも共通して語られています。

 北海道、北陸・信越、中国ブロックから、情勢判断で「新党」の影響を正確に掌握し、対応する点に弱さがあったと報告されています。選挙戦のとりくみの独自の問題点を明らかにすることは必要ですが、導くべき教訓の中心は、もう一回り、二回り外の人々に党の支持を広げることのできる党の実力をつけるというところにあります。

 今後の国政選挙を展望しても、党が安定的な前進をかちとっていくためには、党の基礎的な支持層を固め広げることが、不可欠であります。それを広げてこそ多くの無党派や他党派の支持の方々にも訴えを広げ、得票をのばすことができます。マスメディアの調査結果がしめすように、今回の選挙でわが党に比例で投票してくれた四百九十二万人のうち、もともとの党支持者はだいたいその半数の二百数十万人程度だと推定されます。党の基礎的支持層を三百万人、三百五十万人へと広げてこそ、得票を六百万、七百万へと広げていく道が開かれます。そのためには、党員という党勢の根幹を支えている勢力を増やし、読者という党のもっとも親しい友人を増やすことが、どうしても必要となります。

 今回の選挙結果を分析しても、比例代表の得票率10%以上を獲得した県党組織は、党員の人口比、日曜版読者の人口比で、全国的に高い水準にある高知県、京都府、長野県、大阪府、この四府県でありました。

 また、この間の努力で党建設の前進をつくり、それが今回の選挙戦の得票増として結実している党組織が生まれていることは重要であります。四国ブロックでのこの間の党員拡大のとりくみは、総選挙で議席までは届きませんでしたが、得票・得票率を増やした大健闘につながりました。中越大震災での救援・復興支援活動のなかで党勢を三倍化した新潟県・川口町では、比例票を228%に増やしています。埼玉県・所沢市では、前回総選挙時から日刊紙・日曜版の読者とも前進させてたたかい、比例票を127%に前進させています。愛媛県・西条市では、前回総選挙から党員を倍加し、比例票を132%に前進させています。

 今回の総選挙の結果から、どんな情勢のもとでも、みずからの奮闘で党躍進の「風」をおこせるだけの党づくりをすすめること、党勢拡大の抜本的な前進が、国政選挙での党の本格的な前進に不可欠だということを、私たちは最大の教訓として引き出して、党大会にむけての「大運動」の目標達成のためのとりくみに、新たな意気込みでのぞもうではありませんか。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp