2005年10月10日(月)「しんぶん赤旗」

政治団体間の献金に上限額 「改正」案はザル

規制対象 自民案2件 民主案9件


 自民党は、政治団体間の献金に年間五千万円の上限を設ける政治資金規正法「改正」案を今国会に提出し、成立をめざす方針を固めました。二〇〇四年政治資金収支報告書をみると、金額に上限を設けてもほとんど影響がないことが分かりました。

■現行は制限なし

 〇四年政治資金報告では、二千万円を超える献金をした企業・団体は前年より八増えて二十二。現行では業界団体などがつくる政治団体が、別の政治団体へ行う献金額には制限がありません。

 先の通常国会では政治団体間の献金について、年間五千万円を上限とする自民党案と、年間三千万円(政党と政治資金団体向けは年間一億円)の民主党案が審議されましたが、衆院解散で廃案になりました。

 自民党案に該当する年間五千万円超の献金をした政治団体は日本医師連盟から西島英利後援会一億五千八百三十五万円、日本薬剤師連盟からこにし恵一郎中央後援会一億七千万円の二件だけ(ともに自民)でした。

 民主党案のように年間三千万円超まで広げても、献金が制限されるのは自民六件、民主三件の計九件にすぎません。(表)

■全面禁止が必要

 日本歯科医師連盟(日歯連)の自民党旧橋本派へのヤミ献金や橋梁(きょうりょう)談合で契約額をつりあげた企業の多額な献金など、企業・団体献金が政治をゆがめる例があとを断ちません。

 献金の実態をみたように、金額に上限を設けても規制にかかるケースはわずかで、政治団体を複数設立すれば献金が分散できるなど実効性に乏しいものです。企業献金と同じく政治団体の献金も全面禁止するのが政治とカネ問題の決め手です。

規制対象わずか9件―年間3000万円(民主案)を超える業界など政治団体から政治家の政治団体などへの献金(04年。*は自民案の5000万円超)

 献金した団体     受け取り側      献金額 

【自民】

*日本医師連盟    西島英利後援会 1億5835万円

*日本薬剤師連盟   こにし恵一郎中央後援会 1億7000万円

東京都医師政治連盟 敬人会(武見敬三)  4010万円

全国介護政治連盟 中村ひろひこ後援会 4000万円

日本遺族政治連盟 水落敏栄後援会 3222万円

日本薬剤師連盟 自民党東京参院比例区第12支部(藤井基之) 3100万円

【民主】

電機連合政治活動委員会 「加藤としゆき」を支援する会 5000万円

全トヨタ政治に参加する会 直嶋正行後援会  4280万円

電力総連政治活動委員会 小林正夫と民主党を支援する会 3600万円

(注:政党本部と政治資金団体、同じ政治家の政治団体間や支部とのやり取りを除く)


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