2005年10月8日(土)「しんぶん赤旗」

総選挙めぐり議論噴出 

選挙制度 何が問題


 先の総選挙で比例代表区から当選した自民党新人議員の軽率な言動をやり玉にあげて、「比例代表はいらない」「小選挙区一本に」などという議論が横行しています。果たしてそうでしょうか。選挙制度で何がいま問われているのでしょうか。

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■「比例は悪」ホント?

 「比例の百八十(の定数)はもういらないね。もう百でもいいような」

 九月二十八日の民放テレビ番組で、政治学者の福岡政行氏は自民党の杉村太蔵衆院議員(比例代表・南関東ブロック選出)の謝罪記者会見の感想でこう述べました。杉村氏は当選後、「早く料亭に行ってみたい」などと発言し、不見識だとひんしゅくをかっていました。

 確かに新しく当選した一部の自民党議員には、議員としての適格性を疑いたくなる言動もあります。しかし、それが比例代表制という選挙制度の問題にあるというのはあまりにも乱暴な議論です。何よりも議員となった本人の自覚の問題であり、党の候補者として選んだ政党の責任の問題です。選挙制度とは全く関係はありません。

 むしろいま、国会のあり方として問われているのは、小選挙区制によって民意が著しくゆがめられているという問題です。

 一般紙でも「自公合わせても小選挙区で五割を切り、比例ですら五割そこそこ」「国民の支持率よりもはるかに水ぶくれした三分の二勢力と強腰の首相が、国民支持を錯覚して独裁に陥らないことを願わずにいられません」(「東京」九月十九日付社説)と指摘しています。

■小選挙区がゆがめた

 衆院選の定数は比例代表百八十、小選挙区三百の計四百八十。自民党が得た二百九十六議席のうち二百十九議席が小選挙区のものです。小選挙区での同党の得票率47・8%で、73%もの議席を占めました。これに対し、民主党は得票率36・4%で議席占有率は17・3%(五十二議席)。日本共産党は得票率7・3%で、議席占有率はゼロです。(グラフ上)

 得票率を議席に比例配分すると、自民党は百四十三議席ですから、実に七十六議席も“取りすぎ”ということになります。

 各政党の得票率と議席占有率のズレは、小選挙区制度が各選挙区で一人しか当選できない制度であるために生じます。大政党に極端に有利になる制度であり、相対的に少数である民意は議会の議席構成に反映しません。

 一方、比例代表では、自民党は得票率38・2%で議席占有率42・8%(七十七議席)、民主党は得票率31・0%で議席占有率33・9%(六十一議席)、日本共産党は得票率7・3%で、議席占有率5%(九議席)です。百八十の定数を全国を十一ブロックに分けているため、大政党に有利ながらも、小選挙区に比べれば格段に民意を反映しています。

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■全国一つの比例なら

 議会の議席構成にきちんと民意を反映させるためには、比例代表制を重視していくことが重要です。

 もし全国を一つの比例代表制にした場合、今度の選挙の得票(比例代表)をもとに計算すると、日本共産党の議席は三十五議席程度となり、自民党は百八十三議席、民主党は百四十九議席、公明党は六十四議席、社民党は二十六議席程度となります(グラフ下)。国民の支持の度合いがそのまま国会の構成に反映されるわけで、それこそ国民の代表機関にふさわしい姿です。

 選挙制度で一番求められるのは「鏡のように民意を反映する」ことです。そのためには民意をゆがめ切り捨てる小選挙区制度はただちにやめて、民意を反映する比例代表制を中心とした選挙制度に改めるべきです。


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