2005年10月6日(木)「しんぶん赤旗」
ウズベクへ武器禁輸
EU、暴動の武力鎮圧に抗議
【モスクワ=田川実】欧州連合(EU)は三日、ルクセンブルクで外相会議を開き、五月の反政府暴動を軍が武力鎮圧した際に市民多数が弾圧され死亡したとされる中央アジア・ウズベキスタンへ最低一年、武器輸出を禁止すると決めました。鎮圧に直接関与したウズベク高官のEU諸国への入国も禁止しました。
ウズベク東部アンディジャンでは、軍の無差別発砲により数百人が殺された疑いが濃厚で、EUは当初から事件の国際調査を求めていました。
禁輸措置は「人権の尊重、法の支配、基本的自由という諸原則に基づくもの」で、EUからの武器で市民に犠牲が出るのを避けるためだとしています。ヘルメットや指紋採取器など、警察による弾圧に使われる可能性がある製品も禁輸します。
ウズベク政府の公式反応は五日現在ありません。
ウズベクのカリモフ政権は、軍は武装集団のみを殺害したとし、九月二十日には暴動首謀者とされる人々の裁判を始めました。報道によると、被告らは、暴動が「政府を転覆しイスラム国家を樹立する企てだった」との検察側主張を認めましたが、三日の審理では、軍関係者が、鎮圧当時は暗くて武装集団だけを狙うのは難しかったと述べました。
カリモフ政権は七月、EUとともにウズベクを批判した米国に対し、駐留軍の撤退を要求。米軍は九月、ウズベクとの軍事協力は続けるとしながらも、撤退方針を明らかにしました。
一方、米国とともにウズベクに軍を駐留させるロシアは、五月の暴動鎮圧を支持し、九月には対テロ合同軍事演習も行いました。イワノフ国防相は「ウズベキスタンへの(ロシア製)武器の供給に制限はない」と述べています。