2005年10月4日(火)「しんぶん赤旗」

イラク西部 米軍が連日攻撃

住民虐殺の恐れ

道路封鎖 死傷者救出できず


 【カイロ=小泉大介】米軍が約千人の部隊を動員してイラク西部カイム近郊で一日に開始した大規模軍事攻撃は二日も継続され、多数の住民が死傷しました。攻撃は民間人の大量虐殺となる危険性が高まっています。


■国民投票から排除も

 これに伴いイラク西部では、多数の住民が十五日に実施される憲法国民投票から排除される可能性が現実味を帯びています。さらに、同地域では憲法草案に反対するイスラム教スンニ派住民が多数であることから、同派がさらに態度を硬化させそうです。

 カタールの衛星テレビ・アルジャジーラは二日、現地医療関係者の話として、カイム近郊のルマナ村で、米軍が農業用トラクターを爆撃し、女性や子どもを含む七人を殺害したと報じました。さらに同テレビは、負傷者を救出しようとした救急車のドライバーも殺害されたとしました。

 カイム総合病院のアンマル・マルスミ医師は二日、アルジャジーラの電話インタビューに対し、「私たちは空爆や爆撃の音を何度となく聞いています。女性や子どもを含む多数の住民が死傷したとの情報も入っています。しかし、道路は封鎖され、橋が爆撃で破壊されたため、死傷者を救出できません。犠牲者の正確な数をつかむことは不可能な状況です」と語りました。

 またカイム在住のジャーナリスト、ファレフ・アブデルカリム氏も同テレビに対し、「ルマナでは住民が、がれきとなった民家の下敷きとなっています。米軍が橋を破壊したために住民は避難することもできません。この村で米軍は動くものすべてに爆撃を加えています」と証言しました。

 さらに「住民は米軍とイラク政府に激しい怒りを表明しています。攻撃は、憲法国民投票など政治過程から住民を排除することを狙ったものだからです」と語りました。

 米軍は攻撃の目的を、国際テロ組織アルカイダのメンバーの掃討としており、二日には攻撃で武装勢力八人を殺害したと声明しました。

 汎アラブ通信社のクドス・プレスが一日に伝えたところによると、今回の米軍の攻撃開始前に、カイムとその近郊からは七千二百五十の世帯が避難しましたが、その多くが砂漠地帯での過酷な生活を強いられています。


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