2005年10月3日(月)「しんぶん赤旗」
米軍、イラク西部攻撃
避難の車や救急車も標的
【カイロ=小泉大介】イラク駐留米軍は一日、西部のシリア国境に近いカイム近郊で「鉄拳」と名付けた軍事攻撃を開始しました。約千人の海兵隊員や戦闘機、武装ヘリを動員した大規模なものです。
米軍は同日、カイム近郊のセデアを攻撃。カイム総合病院の医師は十人が死亡、十五人が負傷したと証言しました。カタールの衛星テレビ、アルジャジーラによると、セデアから避難しようとした住民が乗る車二台が米軍に爆撃され、七人が死亡、三人が負傷しました。
また、同テレビによると、セデアの負傷者を救出するためカイム総合病院が派遣した救急車も米軍に爆撃され、運転手と病院職員の二人が負傷。カイム近郊カラビラも爆撃を受け、商店などを破壊しました。
米軍はカイム近郊サダハ周辺にいる「武装勢力掃討」をこの攻撃の目的としています。しかし、従軍する米CNNテレビの記者は一日、サダハでは米軍の徹底した家宅捜索にもかかわらず、武装勢力や武器庫は発見されていないと伝えました。
米軍は八月末にもカイムを爆撃し民間人七十人以上を殺害。九月中旬には北部タルアファルを攻撃し、住民数百人を殺害しました。米軍によるこれらの攻撃後、各地で武装勢力による攻撃やテロが一段と激しさを増しています。
一日には各地で多国籍軍にたいする攻撃が発生。首都バグダッドと同地北方のベイジでは米軍部隊への爆弾攻撃でそれぞれ兵士一人が死亡しました。南部バスラ郊外では、デンマーク軍の車両が道路脇に仕掛けられた爆弾で攻撃され、同軍兵士一人が死亡、二人が負傷しました。