2005年9月30日(金)「しんぶん赤旗」

政党助成金10年

これが「政治改革」なの? 実際の姿は

企業・団体献金と二重取り


 政党助成金制度の実施から十年を迎えた政党の収支をまとめた二〇〇四年政治資金収支報告。「政治改革」どころか浮かび上がってきたのは、助成金に群がり、政治活動を堕落させてきた政党の「国営政党」ぶりです。


■個人献金増えず

 もともと政党助成金は「政党の資金を企業・団体献金から個人献金に移行していく」という口実で一九九五年から導入されたもの。これを「政治改革」と称した細川護煕首相は「政治腐敗事件が起きるたびに問題となる企業・団体献金については、腐敗のおそれのない中立的な公費による助成を導入することなどにより廃止の方向に踏み切る」(一九九三年八月二十三日、衆院本会議)とまでいいました。

 それから十年。企業・団体献金は「廃止」されるどころか、固定化されつつあります。自民党の場合、常に本部収入の二割近くを占めてきました。二〇〇〇年から、政治家個人の資金管理団体向けに企業・団体献金ができなくなると、その受け皿を政党支部に移して温存。自らの口実に反して企業・団体献金と税金(政党助成金)の二重取りを続けてきたのです。

 「個人献金への移行」はどうか。政党助成金制度が始まった九五年、自民党本部収入に占める個人献金の割合は1・2%でした。十年たった〇四年も変わりません。

 民主党は九八年の結成時からみて個人献金の割合は0―0・1%(最高額は九九年の九百二十五万円)。個人献金を増やす努力の形跡はまったくみられず、政党助成金導入の口実は完全に崩れています。

■支持せぬ党にも

 政党助成金は、赤ちゃんからお年寄りまで国民一人当たり二百五十円で計算されています。この十年間、離合集散した政党を含めて三千百二十六億円もの国民の税金が注ぎ込まれてきました。(グラフ)

グラフ

 自民党の場合、〇四年に受け取った助成金は百五十五億三千三百九十万円。これは基準額の二百五十円で計算すると、六千二百十四万人分に相当します。しかし、同年の参院選で自民党が得た比例代表得票は千六百八十万票。つまり自民党は、実際の支持票より四千五百三十四万人分も多い税金を国民から取り上げていることになります。(表)

表

 どの政党を支持するかしないか、寄付をするかどうかは、憲法で保障された思想・信条の自由の根幹にかかわる問題です。強制的に徴収する税金から政党助成金を出す仕組みは、事実上の“強制献金”であり、憲法違反です。

 政党助成金を山分けしている政党は、余っても国民に返すどころか、「政党基金」の名で積み立てています。政党本部と支部の基金残高は〇四年末で百三億七千六百万円に及んでいます。

■まさに国営政党

 「官から民へ」「民間にできることは民間に」とあおる自民、民主両党ですが、資金面は「官」にどっぷりです。民主党は収入の八割以上を政党助成金に依存。自民党は政党助成金が収入の六割を占める運営を十年も続けています。(グラフ)

グラフ

 企業・団体からの献金にも、国家からの助成にも依存せず、国民の中での活動を通じて政治資金を集めてこそ、国民主権の立場にたった政党本来の自主的な活動ができるというものです。それを“助成金なくして政治活動なし”にまで身をおいた自民、民主両党の姿は、政党の屋台骨がむしばまれているといえます。

 別項は、政党助成金の野放図な使い方の一部です。〇四年には、新井正則元自民党衆院議員が助成金を選挙買収資金に使い有罪となる事件もおきています。

 政党助成金は、いったん政党に渡れば、あとは何に使おうと勝手放題の“つかみ金”です。それを山分けする政党には、税金の無駄遣いを厳しく追及できるはずはありません。無駄遣いをいうなら、政党助成金こそただちに廃止すべきです。


■国会議員1人当たりでは4687万円

 政党助成金は、国会議員個人に支給されるのではなく、一定の要件を満たし申請した政党に対して、議員数と国政選挙での得票数に応じて金額が決まります。

 総選挙の結果、〇五年は自民党百五十七億九千四百万円、民主党百十七億七千三百万円、公明党二十九億四千六百万円、社民党十億二千四百万円、国民新党六千万円、新党日本四千万円と試算されました。

 助成金を受け取る党の衆参国会議員数は六百七十七人。一人当たり助成金は四千六百八十七万円の計算になります。


■政党助成金 こんなものに使ってきた  

 *ヘアメーク代(1995年 新進党・公明系)

 *党名変更・新党名普及キャンペーン 4億744万円(96年 社民)

 *高級料亭やすし屋、中華料理店で飲み食い 会議費名目で151回計3013万円(97年 旧新進)

 *税金で税金を払う 「公課(租税など)及び保険料」名目で都税事務所に1600万円(1999、2000年、01年 自民)

 *党大会 自民=赤坂プリンスホテル会場費1888万円、民主=設営・運営費1811万円、公明=運営費679万円、自由=会場一式1906万円(02年)

 *個人に15億2090万円支出 幹事長への組織活動費(02年 自由)

 *ウグイス嬢 事前・本番アナウンサー代180万円(04年 自民埼玉県連)、ウグイス嬢人件費28万円(同 民主茨城県連)

 *供託金 自民=1800万円(04年本部)、民主=1200万円(03年本部)、社民=300万円(04年富山県連)


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