2005年9月18日(日)「しんぶん赤旗」

国連成果文書

米の削除要求に批判

各国が発言

核軍縮の議論不十分


 【ニューヨーク=山崎伸治】国連首脳会議は最終日の十六日、会議の結果をまとめた「成果文書」を全会一致で採択しました。しかし、米国の圧力で核兵器廃絶の課題が入らず、各国の意見が十分反映されなかったとして、ベネズエラ、キューバ、ベラルーシの各国が意見を表明しました。

 ベネズエラのロドリゲス外相は採決を前に発言を求め、「成果文書」作成には一部の国しか参加しておらず、「合意できる内容に対してすら意見を表明できなかった」と指摘しました。

 文書の作成過程では、会議直前の八月下旬になって米国が文書全体に及ぶ削除、修正を要求し、交渉が大混乱に陥りました。窮余の策として作成作業は一部の国に委ねられました。

 同外相は、文書からテロリズムの定義や「人類を何度も死滅させるほどの核兵器による脅威」が削除されたことに不満を表明しました。また、「人権理事会」や「平和構築委員会」などの構成があいまいだと述べ、「一部の国家グループに権限を与えることは危険だ」と内政干渉を容認しかねないことを警告しました。

 採決後にはキューバ代表が発言し、「秘密主義、排除、差別」という同文書の「交渉過程におけるひどい不法行為」を指摘。「核軍縮」への言及がないことを批判しました。

 ベラルーシ代表は同文書について、すべての加盟国が一致しているわけではないと指摘しました。

 これに対し、議長を務めたスウェーデンのペーション首相は、「大量破壊兵器が再び使われる可能性は恐ろしい。それが起きることを放置できない」と発言。「そうした兵器による脅威への対処について会議で取り上げられなかったことは、将来に重い課題を残した」と、核軍縮についての議論が不十分だったことを認めました。


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