2005年9月15日(木)「しんぶん赤旗」

沖縄戦集団自決ゼロ歳児 合祀の基準は?


 〈問い〉 靖国神社に沖縄戦で集団自決の犠牲となったゼロ歳児も合祀(ごうし)されている、という話を最近知りました。どういう基準で合祀されたのですか?(群馬・一読者)

 〈答え〉 靖国神社は、軍人・軍属(いわゆるA級戦犯14人を含む)のほかに、若干の一般人を「準軍属およびその他」として「合祀」しています。

 敗戦直後、靖国神社は、連合軍総司令部によって同神社廃止案が検討される状況のもとで、あわてて「臨時招魂祭」をおこないましたが、その時は合祀者を特定することができず、死亡者を一括して「祭神」としました。

 同神社はその後、姓名が判明した死者を「祭神名票」に書き込んできました。そのさい神社側は、厚生省(現厚労省)が戦傷病者戦没者遺族等援護法(1953年)を適用できる「公務死」として認定した人々の名簿の提供をうけ、これをもとに「祭神」名を書き込みました。

 1958年、同法第2条3項に「準軍属」として「軍の要請に基づく戦闘参加者」がくわえられました。厚生省は、これを、軍によって作戦任務を課せられ、任務遂行中に敵と戦闘し、または戦闘行為を幇助(ほうじょ)し、戦死または戦病死した者、と解釈してきました。つまり「軍の要請」と認められれば、いわゆる「集団自決」による死者を含む場合もある、ということになります。沖縄では、軍によって強要された「集団死」以外にも「軍の要請」にもとづいて泣く子を死に至らしめたことが知られ、靖国神社はこうしたゼロ歳児も「合祀」しているという経過です。

 靖国神社の「祭神・合祀に関する内規」にも、「合祀対象者」として「軍の要請に基づいて戦闘に参加し、当該戦闘に基づく負傷または疾病により死亡した者」をあげ、「満州開拓団員」や「沖縄県一般邦人」などを含めています。

 一宗教法人である靖国神社の「合祀」事務に厚生省が協力するという特別な関係は、かつて日本共産党の小笠原貞子参院議員(故人)が追及したように、政教分離の原則を定めた憲法第20条に抵触する疑いが濃いといわなければなりません。〔平〕

 〔2005・9・15(木)〕


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp