2005年9月15日(木)「しんぶん赤旗」

総選挙結果 各国の反応


■軍事的主張を懸念 米紙

 【ワシントン=浜谷浩司】日本の総選挙結果を受け、米紙には、靖国問題などをあげて小泉政権の軍国主義的傾向の強まりに懸念を示す論調が現れています。

 ワシントン・ポスト紙十三日付社説は、「総選挙結果は日本が軍事的主張をより強める先触れとなりうる」と指摘。「米国は入り混じった感情をもって見るべきだ」と警戒感をにじませています。

 同社説は、「平和憲法の再解釈によってイラクに派兵」し、米国のミサイル防衛に参加することで「武器輸出禁止を廃棄」し、「中国の軍備増強に強硬な姿勢をとっている」と、小泉首相の「新たな(軍事的)主張」を列挙。これらの動き自体は「歓迎できる」と、ブッシュ米政権の立場を代弁しています。

 その一方で、小泉首相が戦前の「日本による侵略のシンボルを遠ざけることを拒否」していることが、中国をはじめとする近隣諸国の懸念を招いていると述べています。

 ニューヨーク・タイムズ紙十三日付社説も、総選挙の争点が事実上、郵政民営化に絞られたため、小泉首相による「日本の軍事的ナショナリズムの伝統に対する浅はかな信奉」が「通ってしまった」と指摘。「(小泉首相が)軍国主義者をまつった神社を参拝したり、より積極的な軍事政策を支持している」ことが、「当然にもアジアの世論を警戒させている」としています。

■憂慮すべき「小泉現象」 仏紙ルモンド

 【パリ=浅田信幸】日本の総選挙結果について、十四日付仏紙ルモンドは社説で「『小泉現象』は憂慮すべきことになりかねない」と論評しました。

 小泉政権の今後の路線について、経済では「より断固とした新自由主義経済の道」になり、外交では「近隣諸国とのつながりを犠牲にした米国への追随をさらに強めることになる」と予測。「小泉氏の勝利はとりわけ社会の選択についての論議を窒息させかねない」と指摘しています。

 そのうえで「社会の豊かさは企業の収益性だけではない。社会・経済的均衡のうえに実るものだ」とし、「社会の安定」については「小泉氏の新自由主義的信条では優先課題になっていないようだ」とのべています。

■重要問題は解決しない 南ドイツ新聞

 【ベルリン=片岡正明】南ドイツ新聞十二日付社説は、日本の衆院選挙での自民党の郵政民営化問題一本での選挙戦略について「少子化や年金危機、気球のように膨れ上がった債務や対中関係のような将来の重要な問題は解決できない」と疑問を呈しました。

 同紙は、自民党圧勝について、小泉首相が強い指導者としての個性で改革のメッセージを発し、国民も不確かな時代の中で指導者の強い個性を求めたからだと論評。小泉首相は郵政民営化で「病み衰えた日本経済刷新をしようという明確な計画があるかのようにみせかけた」が、「それが正しいかどうかは(計画を)まず示さなければならない」と批判しました。


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