2005年9月12日(月)「しんぶん赤旗」

独総選挙 あと1週間

“保守野党優位” 税制で揺らぐ


 【ベルリン=片岡正明】ドイツでは総選挙を一週間前にして、テレビ討論など政策論争の中でこれまでの保守野党優位が揺らいでいます。八日に発表された二つの世論調査では最大野党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と自由民主党(FDP)の支持率の合計が初めて社民党(SPD)、90年連合・緑の党、左翼党の支持率合計を下回りました。

 選挙序盤の論争の焦点はシュレーダー政権の労働市場、社会保障の「改革」政策です。同政権は、長期失業者を労働市場にもどすためとして、失業保険給付期間を短縮しましたが、失業者は今年初めから五百万を超え、失業率も11―12%と深刻化したままです。シュレーダー首相は「来年には成果がでてくる」と主張するのに対し、CDU・CSUの首相候補、メルケル氏は「失業率が改善しないのは重大な公約違反」と批判していました。

 しかし、失業保険期間短縮などの政策は二大政党が合意して進めてきたものであることが四日の二大政党首相候補テレビ討論でも改めて明らかになりました。メルケル氏が認めた違いは「改革を始めるのが遅すぎた」というくらい。代わって争点として税制改革問題が浮上してきました。

 CDU・CSUの税制改革の特徴は「税の簡素化」を掲げた金持ち減税です。所得税率を最低12%、最高39%とするものですが、高額所得者の税率を3ポイント下げる政策です。

 しかしメルケル氏が「財政相」に予定するキルヒホフ・ハイデルベルク大学教授は所得税率を一律25%とする単一所得税制が持論。シュレーダー首相は「億万長者も懸命に働く看護師も同じ税金をとられるのは税の公正に反する」と強く批判しました。

 公共放送ARDの世論調査では、このテレビ討論後、税制問題での政策支持率はSPDが12ポイントも上昇、逆にCDU・CSUは7ポイント下がって35%で並びました。

 また、CDU・CSUが主張する解雇規制緩和、労働者の夜勤や休日出勤手当への課税、付加価値税の16%から18%への引き上げに対しても、「社会的公正に反し国民への負担を重くする」(シュレーダー首相)との主張の方に国民の支持が集まっています。

 一方、旧東独部に支持基盤を持つ民主的社会主義党(PDS)から改称した左翼党は、旧西独部のWASG(労働と社会的公正のための選挙代案)の労働組合活動家や元SPD党員も選挙名簿に加え、失業保険制度改悪の撤回、月額最低賃金千四百ユーロ(約十九万円)の確立を訴えています。また、税制では資産家を対象にした財産税導入や高額所得者への最高税率引き上げなどを訴え、最近の世論調査でも8―8・5%の支持率を維持しています。


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