2005年9月12日(月)「しんぶん赤旗」

米軍銃弾が住民襲う

沖縄 キャンプ・ハンセン射撃訓練 

庭遊びの幼児も負傷

訓練容認の小泉自公政権


 米陸軍が、沖縄県の「キャンプ・ハンセン」(金武町、恩納村など)内に新設した都市型戦闘訓練施設を使った実弾射撃訓練を始めています。たびたび住民に被害を与えながら、さらに危険な訓練を行う米軍と、小泉自公政権の容認姿勢に批判が高まっています。(山崎静雄)

■射撃場13カ所年中実弾飛ぶ

 米軍は、キャンプ・ハンセンに十三カ所の実弾射撃場を設置しています。八月三日に、防衛施設庁が赤嶺政賢衆議院議員(当時)の求めに応じて提出した資料で、各種小銃を使用する射撃場十一カ所、ライフル、ピストル射撃場各一カ所、合計十三カ所の使用が判明しました。そのいずれかを使って、年中実弾射撃訓練を行っています。

 基地の南側には、金武町伊芸区の住宅地域があり、実弾射撃による被害を繰り返しうけてきました。

 金武町がまとめた被害地図によると、海側の家まで被弾しており、住宅地域全域が危険にさらされています。

 米軍の銃弾に襲われた例をみると―。庭先で遊んでいた三歳の幼児が大腿(たい)部に負傷、自宅にいた十九歳の女性が大腿部に重傷。耕作中の一人が負傷。民家の水タンク貫通。給油所、レストラン、民家などに合計九発が直撃。

 いつ銃弾が飛んでくるかわからず、まるで戦場にいるかのようです。

■イラクを想定危険性が増す

 都市型戦闘訓練施設は、高いところからの狙撃やロープで下降する訓練を行う射撃訓練塔(三階建て、約十メートル)、射撃の標的となる射撃用建物(鉄筋コンクリート)、ドアを破壊して強行突入する突破訓練施設、標的を撃つ野外射撃場(五十メートル)、管理棟(三棟)からなる複合施設です。

 これを使った特殊作戦の訓練はイラクでの人殺しのための訓練です。射撃訓練塔や射撃用建物では、内部にいる敵を探し攻撃する訓練も行います。状況に応じてあらゆる方向に射撃しますから、銃弾が建物外に飛び出す危険は、さらに増大します。射撃用建物に跳弾防止用のゴムを取り付けても、危険は変わりません。 

 伊芸サービス・エリアの近くにある「レンジ5F」は、ジャングル・レーンと呼ばれる移動型の実弾射撃訓練場です。東側に、伊芸区住宅地域を通り海に流れ込む沢(川)があります。長年、監視行動を続けている沖縄県平和委員会事務局長の大久保康裕氏は、「海兵隊員は、この五百メートルほどの沢に沿って移動しながら、各所に設置している人型の標的に発砲する実戦的な訓練をします。沢は深く曲がっているため、標的を撃つときには方角も大きく変化します。実弾はどこに飛ぶかわかりません」と危険性を指摘します。

■外相は「米国に中止求めない」

 伊芸区、金武町、同町議会、沖縄県議会が開催した「陸軍複合射撃訓練強行実施緊急抗議県民集会」(七月十九日)には一万人が参加。「伊芸区民は標的じゃない」などのプラカードを林立させ、「即時閉鎖・撤去」を求めました。

 この集会決議を政府に届けた金武町長らにたいし、町村外相は、「米国に中止を求めるわけにはいかない。代替施設の着工に努力する」とのべました。大野防衛庁長官も同様に、住民の訓練中止要求を拒絶しています。

 代替施設とは、「レンジ16」に同型の戦闘訓練施設を日本の思いやり予算で建設するというものです。しかし、米軍は、施設ができたあとも、「レンジ4」での実弾射撃訓練を続けます。アメリカいいなりの政府では、住民の安全を守れません。小泉内閣の与党自民党、公明党の責任は重大です。

■住民とともに基地撤去要求

■日本共産党

 日本共産党は、住民と手を取り合って実弾射撃反対、キャンプ・ハンセンの撤去運動にとりくんできました。赤嶺政賢前衆議院議員は、先の通常国会だけでも五回もこの問題をとりあげ、「伊芸区の痛みは『基地の島』沖縄の痛み」と訴える県民の声を届け、基地撤去を要求しました。

 日本共産党は、日本国民の生命を守るために、自民党政治の誤りと正面から対決し、アメリカにたいしても堂々とものをいう党です。「たしかな野党」として、基地の縮小・撤去、日米安保条約廃棄のため全力をつくします。


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