2005年9月7日(水)「しんぶん赤旗」

米軍、イラク北部を猛爆

モスク破壊 住民拘束

武装勢力の攻撃も全土で激化


 【カイロ=小泉大介】イラク駐留米軍は五日、イラク北部モスル西方のタルアファルに猛爆を加え、住民八人を殺害するとともに、市内にある四つのモスク(イスラム教礼拝所)も爆撃しました。さらに住民七十人以上を拘束しました。カタールの衛星テレビ・アルジャジーラが現地ジャーナリストの話として伝えたもので犠牲者はさらに増える見込みです。

 イラクでは十月十五日までに憲法草案への賛否を問う国民投票が実施される予定ですが、米軍が西部に加え北部でも「武装勢力掃討」を口実とした空爆を強行する一方、武装勢力の攻撃も全土で激化しており、イラクの政治プロセスは重大な危機に直面しています。

 アルジャジーラによれば、米軍のタルアファル空爆はF16戦闘機や武装ヘリを動員した激しいもので、女性や子どもを含む多数の負傷者を病院に搬送することも困難な状況です。空爆は五日以前にも断続的に行われており、住民の九割がすでに同地から避難しているとされます。

 同地には主にイスラム教スンニ派とトルクメン人が居住していますが、米軍はスンニ派住民地域に爆撃を集中させ、憲法起草をめぐり顕在化した宗派、民族間対立をさらに深刻化させるものともなっています。

 一方、イラクでは五日、全土で多国籍軍やイラク治安部隊を標的にした武装勢力の攻撃が多発。南部バスラでは、道路脇爆弾攻撃により英兵二人が死亡しました。一昨年三月のイラク戦争開戦以降の同軍死者は九十四人に達しました。

 また西部ヒートでは同日、多国籍軍基地近くで自動車爆弾による攻撃が発生し、イラク人十一人が死亡、十六人が負傷しました。中部バラドではイラク軍車列にたいする自爆攻撃で、兵士二人が死亡しました。

 首都バグダッドでは五日、約三十人の武装勢力が内務省建物にたいしロケット弾や迫撃弾で攻撃し、イラク警官二人が死亡、五人が負傷しました。同地ではまた、米軍車両にたいする爆弾攻撃で米兵四人とイラク人三人が負傷しました。


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