2005年9月7日(水)「しんぶん赤旗」

30人学級法案要綱発表にあたって

小泉政治による抵抗と対決し、少人数学級への道をひらきます

二〇〇五年九月六日 日本共産党


 六日、日本共産党の石井いく子副委員長が発表した「三十人学級法案要綱発表にあたって」(全文)は次の通りです。

 少人数学級は国民の強い教育要求であり、すでに四十五道府県にひろがっています。しかし、国の制度が「四十人学級」のままで少人数学級への財政的保障がないため、本格的な実施ができないでいます。日本共産党はみなさんとともに、国としての少人数学級を求めて長年奮闘してきました。そのなかで今年二月、わが党の国会質問に中山文部科学大臣がはじめて「少人数学級をすすめないといけない」旨の答弁をしたことは、重要な成果でした。

 ところが、こうした動きが、小泉構造改革のもとで「公務員がふえるからやめよ」と押し戻されようとしています。少人数学級について検討していた文部科学省の「協力者会議」も、八月二十三日、四十人学級制維持の中間報告を出さざるを得なくなりました。

 子どもの現状は、一刻も早く手厚い教育を必要としています。世界をみても、「学力世界一」で注目をあつめるフィンランドが二十四人以下など、三十人以下学級は当たり前の流れです。これにたいして日本は三十一人以上の学級が小学校で48%、中学校で81%も残されています。

 私たちは、小泉政権による少人数学級への逆流を打破し、少人数学級への道をひらくために、「三十人学級法案要綱」を発表します。

 文部科学省によれば「三十人学級」の完全実施に必要な教員は十一万人、予算は七千八百億円です。私たちの提案はそれを五年間で段階的に進めるものです。児童生徒減に伴う教員自然減および、この間の定数改善で五万四千人にふえている「加配教員」(その三分の二は現に少人数授業、少人数学級等にあてられている)の三分の一を活用すれば、実際の負担は、初年度百五十六億円、完成年度五千八百億円(国、地方は各二分の一)におさえられます。これらは関西国際空港二期工事などの大型公共事業、根拠なき税金支出である在日米軍「思いやり予算」などの軍事費、政党への税金ばらまきにほかならない政党助成金などの一部にメスをいれるだけで十分確保できるものです。また教員雇用の創出は経済波及効果がおおきく、子どもの教育だけでなく、景気対策としても役に立つ施策です。

 「三十人学級」のあり方は多様で弾力的な方法を保障します。たとえば、一学年三十一人だったら十五人と十六人の二クラスにわけるより、一クラス三十一人のままで複数担任にしたいという考え方もありえます。そうした判断は学校・地方にゆだねるものとします。


法案要綱

 (1)「義務教育標準法」(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律)を改正し、小中学校の学級編制の標準を「四十人」から「三十人」にひきさげ、来年度から段階的に「三十人学級」を進め、完成年度を二〇一〇年度とする。

 (2)学級定員改善の進め方は、学校・地方の判断による多様で弾力的なあり方を保障する。


少人数学級をめぐるこの間の経過

 2月23日 衆院文部科学委で中山成彬文科相「少人数といいますか、少しずつでもやはりクラスの数を減らす方にいかないとこれはいけない」と答弁。共産党の石井いく子議員の質問に。国会初。

 3月29日 参院文教科学委で鳥居泰彦中教審会長も30人学級推進の答弁。共産党の小林みえこ議員の質問に。国会初。

 5月10日 中教審義務教育特別部会で委員から少人数学級推進をもとめる意見があいつぐ。

 5月19日 文科省「教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議」を設置。少人数学級検討へ。

 6月1日 経済財政諮問会議に中山文科相、鳥居中教審会長が呼び出され30人学級への非難あいつぐ。鳥居会長は「小1、2は30人学級」を主張。委員からは「一律30人学級という話は、今の時代からするといかがなものか」(麻生太郎総務相)など高圧的な発言がつづき、中山文科相も少人数がよいと実は思っていないと発言。

 6月6日 財政制度等審議会「06年度予算編成の基本方針について」公表。教育について「総人件費抑制の観点から、厳しく見直しを進める」「少人数学級編制等のため教職員を増員することを教育水準の向上と同視するといった安易な発想は排し」と、少人数学級敵視。

 6月21日 政府の「骨太方針2005」が「小さな政府」、公務員削減を重点課題に。

 8月23日 文科省「協力者会議」が「中間報告」。小学校低学年の35人学級などを推奨しながら、少人数学級制への移行を見送り、学級編成権を区市町村・学校に移す方向を打ち出す。秋に「最終報告」予定。



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