2005年9月4日(日)「しんぶん赤旗」

小泉「改革」

これまで これから

あなたにとって4年間は…


 「痛みに耐えれば希望ある明日が来る」といった小泉内閣の四年間、国民が体験したのは何だったのでしょうか。衆院議員の任期は四年。小泉「改革」の“これまでの四年間”と“これからの四年間”が問われます。


▼2001〜05年

■社会保障/医療、年金、介護で大改悪

 国民に「痛み」を押しつけてきた小泉「改革」は、社会保障の連続改悪で国民の健康、命を脅かしました。

 「在宅酸素療法の窓口負担が月八百五十円から九千円に跳ね上がり、治療を中止した」(東京民医連調査)。医療改悪で、二〇〇二年十月からお年寄りの医療費負担が定額制から原則一割負担に。酸素吸入を打ち切る人が続出しました。

 〇三年四月にはサラリーマン本人の医療費三割負担を実施。受診抑制や治療中断が起きた医療機関が四割を超えました。

 年金額は〇三年度、〇四年度と二年連続で物価スライドにより削減。「八十年生きてきたが、こんなみじめな思いをしたのは初めて」という声があがりました。

 自民、公明、民主が強行した改悪介護保険法により、十月から特別養護老人ホームなど施設入所者は、食費、居住費が年間三十九万円の負担増に。施設からの「追い出し」にもなりかねません。

■増税/お年寄りにも業者にも

 「年金額がいきなり減った」「所得税が増えている」―ことし一月から、年金「財源」を理由に所得税の老年者控除の廃止と公的年金等控除の縮小が実施されました。年金受給者二千万人のうち、五百万人が増税になりました。年金月十九万円弱の人は、非課税から新たに約四千円の所得税負担に。

 来年六月には、住民税分も実施されます。新たな増税に加え、国保料、介護保険料と雪だるま式の負担増になります。

 サラリーマン世帯は、〇四年一月に所得税の配偶者特別控除が廃止され、〇六年一月には所得税の定率減税が半減されます。

 中小・零細業者に対しては、〇四年四月から、消費税免税点を売上高三千万円以下から一千万円以下に引き下げました。売り上げが一日平均三万円強の業者にまで、身銭を切らせても消費税を払わせる大改悪です。

■雇用・中小企業/パート・派遣が32%も

 大黒柱が職を失い、妻がパートを増やし、子どもが進学を断念――国民に「痛み」を強要する小泉内閣の冷たい政治が家族を襲いました。

 完全失業者は三百万人前後の高水準のまま。正規社員が三百万人も減る一方で、パートなど非正規雇用は二百三十万人も増大し、労働者の32・3%と過去最高を占めるまでになりました。

 労働者派遣を製造業にも拡大したり、リストラをするほど産業再生法で減税をしてやるなど、大企業のリストラを後押ししてきたからです。

 年間四千人にものぼる中小企業経営者の自殺。「不良債権の早期処理」の名で四年間で六万六千件の中小企業が倒産し、中小企業向け貸し出しが五十五兆円も減らされる冷たい政治が原因です。

 大銀行の帳簿からは不良債権が消えましたが、中小企業や家族の暮らしに負わされた癒やしがたい傷は今も消えません。


▼2005年〜

■社会保障/障害者、高齢者も改悪

 小泉内閣が真っ先にやろうとしているのは、多くの障害者、国民が反対し、廃案になった障害者「自立支援」法案。「月六万六千円の障害基礎年金の人が、二万五千円も負担が増える」「心臓病の子をもつ親の負担は十五倍に」など、障害者の自立を「破壊」する内容です。自民党はマニフェストに「早期の成立を期する」と明記しました。

 二〇〇六年予定の医療制度「改革」では、「新たな高齢者医療制度の創設」を狙っています。息子や娘に扶養してもらっている人も含め、すべての高齢者からの保険料徴収を計画。医療費の原則一割負担(七十歳以上)を二割、三割に引き上げることも検討されています。

 〇六年度には、生活保護の老齢加算の廃止、介護保険料引き上げが予定されています。年金保険料引き上げは、一七年度まで続きます。

■増税/24兆円も庶民の肩に

 政府税制調査会は「就業者の八割を占めるサラリーマンの方々に頑張ってもらう」(石弘光会長)として、定率減税の廃止に加えて各種控除の廃止・縮減によるサラリーマン増税を計画。総額十二兆円。「消費税の二ケタ化」とあわせて二十四兆円になる大増税です。

 年収五百万円の四人家族で四十二万円、消費税とあわせると五十五万円にもなる「超重税」(「読売」)です。

 自民・公明は「税調の考え方はとらない」と増税隠しに懸命ですが、控除見直しは昨年末の「与党税制改正大綱」で決めたこと。これを具体化したのが税調の方針です。小泉首相も「控除見直しも当然やります」(九月一日)と認めました。

 民主党も「サラリーマン増税反対」といいますが、マニフェストに「配偶者控除、扶養控除の廃止」を明記しています。

 消費税増税でも自民党の武部勤幹事長はテレビ討論で、〇七年度から引き上げるのかと聞かれ、「それはそうだ」と発言。民主党も年金財源の名で3%税率アップを主張しています。岡田克也代表は「社会保障費増にリンクした消費税増税を考えないといけない」と、追加増税を主張しています。

■雇用/カネ払えば解雇自由!?

 小泉内閣は、さらに大規模に働くルールの破壊をねらっています。

 労働基準法を改悪して不当解雇してもカネを払えば解雇できる「解雇の金銭解決制度」を検討。サラリーマンを労働時間規制の対象から除外(エグゼンプション)して、残業代を払わなくてもすむようにする「ホワイトカラーエグゼンプション」と呼ばれる制度の導入もねらっています。

 ほかにも、労働条件の不利益変更を使用者が一方的にできる制度など、ぞろぞろ。これが通れば、労働者の使い捨ても酷使も使用者のやりたい放題です。


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