2005年9月3日(土)「しんぶん赤旗」

違法ワクチンで拡大か

茨城の鳥インフルエンザ

農水省小委が示唆


 農水省は二日、専門家による家禽(かきん)疾病小委員会を開き、鳥インフルエンザの感染歴を示す抗体陽性を確認した茨城県内の養鶏場のうち、密閉型でない鶏舎で飼われている鶏についてはただちに殺処分が望ましいと判断しました。これを受け、茨城県は同日、十三養鶏場の七十七万二千羽の鶏の殺処分を命じました。密閉型鶏舎では当面、二週間間隔でウイルス検査をおこない、ウイルス陽性が確認された場合に殺処分する対応を決めました。

 記者会見した喜田宏委員長(北大大学院教授)は、感染経路について「違法にワクチンを接種した結果、ウイルスが広がった可能性も否定できない」との意見で一致したことを明らかにし、人為的な原因で感染が拡大した可能性を強く示唆しました。

 鳥インフルエンザワクチンは、家畜伝染病予防法などで都道府県知事の許可を受けずに接種することは禁じられています。農水省や茨城県は、感染が確認された養鶏場の経営者らの事情聴取を進め、原因の特定を急ぐ方針。違法なワクチン接種が認められた場合は刑事告発の対象となり得えます。

 茨城県で検出したウイルスの遺伝子構造などを調べた結果、中米グアテマラやメキシコで過去に発生したウイルスと型が近いことが判明。喜田委員長は中米から渡り鳥がウイルスを運ぶ可能性は低い上、違法に中米から鶏が輸入された形跡もないと指摘しています。


■解説

■監視検査の義務付けを

 今回の鳥インフルエンザの感染歴は、二〇〇四年二月に発覚した京都府の浅田農産(約二十五万羽)を大きく上回っています。

 発端となったイセファーム系列の大規模養鶏場では、数百万羽規模の感染歴がわかりました。しかし、この大規模養鶏場は、農水省が鳥インフルエンザ対策として始めた鶏のサーベイランス(監視)検査の対象ではありませんでした。このため、防止対策が後手にまわる事態となりました。

 H5N2型鳥インフルエンザは弱毒型のため、感染はサーベイランス検査でつかむしかありません。養鶏農家からは農水省の方針に不信・批判の声がでていました。

 日本共産党は、京都府の浅田農産での鳥インフルエンザまん延を教訓として、政府に鳥インフルエンザの監視検査を法的に義務付けることを要求。しかし、政府は検査義務付けをおこなわず、大規模養鶏場の鶏の検査を業者まかせにして放置してきました。

 (宇野 龍彦)


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