2005年9月2日(金)「しんぶん赤旗」

安心の年金改革示す党は


 “郵政”一本で失政への審判をかわそうとする小泉純一郎首相ですが、有権者の関心が高いのは年金問題です。政府の「改革」のたびに年金が削られて不安が大きいからです。この流れを断ち切り、暮らしを支える年金を提案しているのはどの党か―。


【自民・公明】

■国民に負担増と給付減 07年に消費税増税計画も

 年金問題に後ろ向きなのが自民、公明両党。選挙戦にのぞむ姿勢を聞かれたなかでも「選挙の争点にしない」(小泉首相、党首討論会、八月二十九日)、「選挙の争点にするのはおかしい」(神崎武法代表、三十日、NHKインタビュー)と逃げています。

 マニフェスト(政権公約)では、世論の七―八割の反対を押し切って〇四年六月に強行した年金改悪(別項)を、「持続可能で安心な年金制度を構築」(自民)、「安心が確保」(公明)などと美化しています。

 「安心」といいますが、改悪後の世論調査(金融広報中央委員会、〇四年九月)でも、年金について「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と考える人が48・1%。こうした実態とかけ離れた公約となっています。

 負担増・給付減ともに自民、公明のいう年金「改革」の中心は、財源確保を口実にした増税にあります。ことし一月からは、基礎年金の国庫負担引き上げを理由に、年金生活者に増税となる老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小を強行しています。

 今回のマニフェストで自公両党は、肝心の低年金問題を打開する施策は何も示していません。それどころか、年金など「社会保障財源」を口実に〇七年度をめどにした「消費税を含む税体系の抜本的改革」=消費税増税を初めて明記しました。自民党の武部勤幹事長は、「〇七年度をめどに消費税を上げることか」と問われ「それはそうだ」と明言(八月二十八日放送のフジテレビ系「報道2001」)。公明党の神崎武法代表も「必要があればやむを得ない」(同日、党本部)とのべています。


●【04年年金改悪】

 保険料は2017年度まで、国会審議なしで毎年引き上げられます。厚生年金の保険料率は毎年0.354ポイント引き上げられ(労使折半)、サラリーマンに毎年約1万円の負担増が14年連続で押しつけられます。国民年金は、毎年3360円(月280円)の負担増が13年連続します。(グラフ参照)

 年金額は、物価が下がれば減額されます。賃金、物価が上がっても少子化などを理由に上げ幅が抑制、場合によってはゼロにされます。公明党はこれを「百年安心の年金」と宣伝。世論のひんしゅくを買っています。

グラフ

【民主党】

■「改革」のカナメは消費税8%へ引き上げ

 年金財源を口実にした消費税増税にもっとも熱心なのが民主党です。

 マニフェストで「年金目的消費税などを財源に老後の最低限の年金を保障」するとしています。このため、厚生、共済、国民など各年金制度を「一元化」するのが民主の年金「改革」です。

 民主の「最低保障年金」は月額七万円としています。しかし満額の月七万円を受け取れるのは新制度発足から四十年間加入した人で、今から四十年以上も先の話です。新制度への加入期間が短ければ支給額も少なくなります。

 新制度発足時に六十歳を超えている人は加入期間がゼロで「最低保障年金」の対象外となります。

 月二万、三万円という現在の低額年金、無年金の問題の解決には役立ちません。

 いま低い年金、無年金の人にとっては「年金目的消費税」(二〇〇七年度実施計画)が重い負担となります。税率について岡田代表は「3ポイント上げ」る(八月二十八日のフジテレビ系「報道2001」)と明言。消費税8%をめざします。年間で七兆五千億円もの国民負担増になります。

 さらに年金「一元化」は、自営業者など国民年金の加入者に、保険料アップか給付削減を押しつけることになります。保険料の半分を事業主(企業など)が負担する厚生年金に、事業主負担のない国民年金を合わせるためです。同じ給付にしようとするならば、現行の国民年金保険料(月額一万三千五百八十円)を何倍も引き上げなければなりません。


【日本共産党】

■低年金・無年金に光 財源負担は大企業に

 年金制度の最大の問題は、低すぎる年金(国民年金の平均受給額月四万六千円)と、無年金者の問題です。社会保障の連続改悪が続くなかで国民年金保険料未払いは一千万人を超えています。

 これを解決するのが日本共産党が提案している「最低保障年金制度」です。月五万円の最低額を全額国庫負担ですべての国民に保障し、国民年金や厚生年金、共済年金加入者には、払った保険料に応じて給付を上乗せする仕組みです。

 無年金者には月五万円を支給。月四万円の国民年金受給者には、最低保障額の五万円に二万円がプラスされ、月七万円となります。月十万円程度の低い厚生年金も底上げされます。(図参照)

グラフ

 年金財源については、保険料引き上げや消費税増税など庶民に負担を求めるのではなく、ムダな公共事業や軍事費など浪費の削減、史上空前の利益を上げている大企業や、高額所得者に応分の負担を求めて確保します。

 企業・団体献金を受け取らず、大企業にもきっぱりとものが言えるたしかな野党、日本共産党だからできる提案です。


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