2005年9月1日(木)「しんぶん赤旗」

“米政府や多国籍企業が 郵政民営化で一番もうける”

米紙 米金融機関の試算報道


 【ワシントン=浜谷浩司】小泉首相の郵政民営化で「もうけるのはだれだ?」―米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル八月二十六日付は、刺激的な見出しで、一番もうけるのは米国債や株を発行する米政府や多国籍企業だとする記事を掲載しています。

 記事は郵政民営化に期待を寄せる米国の政府と資本の見方を示したもの。それによると、米金融機関シティーグループは、郵政民営化で郵便貯金と簡易保険が「民間の手に落ち」た場合、「三兆ドル」の郵貯・簡保資金の大部分が従来とは異なる市場に流れ込むと分析し、その行き先を試算しました。

 米財務省証券(米国債)と欧州債券、日本と外国の株式が「大勝利」を収めるというのが、その結論。一方で、郵貯制度の恩恵に浴してきた日本の国債市場は「大敗北」を喫するとしています。

 シティーグループは、郵貯・簡保の民営化によって、国債、地方債、社債を含む日本の債券市場から一兆三千七百五十億ドルが流出すると試算。投資家は有利な運用先を探すが、千二百七十億ドルは米国債へ、六百四十億ドルが欧州のユーロ債へ、五千二百十億ドルが日本の株式市場に向かうとみています。

 同記事は、INGグループ(ロンドン)のエコノミストによる試算として、郵貯・簡保が百八十七兆円の日本国債を抱える一方で、外国証券には八兆五千億円しか投じていないと指摘。

 日米間の国債利回りの開きからみて、「(民営化後の)郵貯、簡保の新しい所有者がより大きな利益を求める理由は容易に理解できる」としています。


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