2005年8月31日(水)「しんぶん赤旗」
米北東部9州が10%削減合意
ブッシュ政権は京都議定書拒否だが
CO2規制 地方は拡大
【ワシントン=浜谷浩司】地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出を規制しようとする動きが、米国の地方レベルで広がりを見せています。ブッシュ大統領が京都議定書を拒否し、温室効果ガスの拘束力ある排出規制にあくまで反対しているなかで、大統領と同じ共和党の知事らが規制を推進。国政への影響も視野に入れ、ブッシュ政権への「造反」との指摘も出ています。
ニューヨーク・タイムズ紙二十四日付は、ニューヨーク、ニュージャージー、マサチューセッツなど米北東部の九つの州が、発電所の二酸化炭素排出量を二〇二〇年までに10%削減することで原則合意したと伝えました。西海岸の三州による同様の動きを促進すると同時に、人口の多い両海岸地域の共同に発展する可能性も出ています。
規制は〇九年に開始の予定で、域内の六百余の発電所の排出量を一五年まで現在の水準に凍結し、その後の五年間で10%削減。そのために排出権取引制度を創設します。九州の総排出量はドイツ全体に匹敵します。
交渉にはペンシルベニア州などもオブザーバーとして参加し、協力がいっそう広がる気配もあります。
一方、ワシントン・ポスト紙二十五日付によれば、西海岸のカリフォルニア、ワシントン、オレゴンの三州も二〇年までの発電所の排出規制を検討。北東部の規制案が明らかになった後、カリフォルニア州の担当者らは北東部を追い越すことへの期待を述べたといいます。
ポスト紙は、西海岸各州の担当者らが北東部の協議にも出席しており、両方の地域協力が連結されるとの見通しを語ったと伝えました。
北東部の地域協力を主導しているニューヨーク州のパタキ知事や、自動車の排出規制を進めているカリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事らは共和党に所属しています。
自動車や電力など産業界からの強い反対を前にしての規制の動きには、住民の支持があります。
ニューヨーク・タイムズ紙二十五日付によれば、北東部の四十以上の市長が九州の知事に対し、計画を早期に採択するよう要請しています。
フィラデルフィア・インクワイヤラー紙二十八日付社説は、北東部の動きは「全国モデルになりうる」と指摘。「連邦政府がやらないなら、州が穴を埋めなければならない」とし、この動きが国政を変える「うねり」となることに期待を示しました。