2005年8月29日(月)「しんぶん赤旗」

独左翼党

新自由主義から弱者守れ

党大会で総選挙政策決める


 【ベルリン=片岡正明】ドイツの左翼党は二十七日、ベルリンで党大会を開き、法定の最低賃金制の確立や最低年金の充実を盛り込んだ総選挙政策を採択しました。

 左翼党は、旧東独部に地盤を持つ民主的社会主義党(PDS)が改称した党。旧西独中心の左翼政党「労働と社会的公正のための選挙代案」(WASG)との統一選挙名簿で九月十八日投票の選挙戦に臨んでいます。

 ビスキー議長は大会の冒頭演説で、同党の総選挙政策がシュレーダー政権の進めてきた社会改革政策「アジェンダ二〇一〇」と労働市場政策「ハルツ改革」に対する唯一の「新たな社会的対案」となると強調。政府が社会保障制度の解体と新自由主義政策を進めてきたと批判し、すべての国民に最低限の生活を保障することが必要だと訴えました。また、その財源は、資産家への財産税、高額所得者の最高税率引き上げ、株や為替取引への課税強化などで保証できると断言しました。

 統一候補者名簿リストの第一位候補となっているギジ氏は「新自由主義に対する代案が国民に見えてきた。最低賃金制度など社会的公正を実現することが大切だ」と指摘しました。

 初めて左翼党の大会に参加した元社会民主党党首のラフォンテーヌ氏は、「社民党と90年連合・緑の党の連立政府が七年間、新自由主義政策を実施してきた。これに対し左翼の目的は社会的弱者を守ることである」と強調。「新自由主義に対抗しドイツの旧東独と旧西独を地盤とする二つの左翼党の統合、左翼の強化を促し、短期間に多くのことが成功した」と述べました。

 左翼党は最新の世論調査で9〜10%の支持率を得ています。

■社会最低保障制度の確立米核兵器の国内撤去要求

■独左翼党の選挙政策

 【ベルリン=片岡正明】シュレーダー独政権の実施している社会改革政策「アジェンダ二〇一〇」や労働市場政策「ハルツ改革」は、同政権二期目の二〇〇三年に打ち出されたもので、経済のグローバル化(地球規模化)と高齢化社会のなかで「社会福祉国家を維持する」ためとされます。しかし、失業保険給付期間の短縮や失業援助金の削減、医療受診での一部有料化など、国民に痛みを強いる面が浮き彫りになってきました。

 左翼党が二十七日採択した総選挙政策は、失業保険期間短縮や失業援助金削減をした「ハルツ改革」を廃止し、当面の措置として失業援助金は月額四百二十ユーロ(五万六千七百円、一ユーロ約百三十五円で計算)を保証するとしています。

 また、国民の所得を増やして購買力をつけ、経済を活性化するため、最低賃金は月額千四百ユーロ(十八万九千円)、最低年金は月額八百ユーロ(十万八千円)を確立します。さらに社会最低保障制度を設け、単身で七百五十ユーロ(十万千二百五十円)、子ども二人の四人家族で千九百ユーロ(二十五万六千五百円)を支給します。「教育の機会均等」「教育は最大の投資」をスローガンに、保育園や幼稚園、大学の授業料は無料にします。

 これらの財源としては、上から下への再配分をめざして、資産家を対象とした財産税の導入、高額所得者の最高税率の42%から50%への引き上げ、相続税の引き上げ、株や外国為替取引への課税強化、軍事費削減を主張しています。

 外交政策では、米国の単独行動主義に対し国連の強化を盛り込んでいます。またセルビア・モンテネグロのコソボ自治州やアフガニスタンなど外国からすべてのドイツ軍部隊を撤退させることをうたっています。ドイツから米国の核兵器を撤去させ、核兵器のない欧州を推進することを強調しています。

 エネルギー政策では、原発を全廃するとともに、二〇五〇年までにすべてのエネルギーを太陽、水、風力、バイオといったエネルギーに転換すること、また直接民主主義をもっと活用するために、国民投票の機会をもうけることや、ドイツの東部と西部地域間に存在する賃金格差をなくすことなどを掲げています。


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