2005年8月28日(日)「しんぶん赤旗」

「たしかな野党」が伸びてこそ
政治は変えられます

3つの仕事に取り組む日本共産党


 内政でも外交でも「八方ふさがり」の自民党政治。日本共産党は「たしかな野党」として、このゆがみをただす三つの仕事に取り組んでいます。


■間違った政治に反対/「一番大事な問題を突いた」と与党議員

 一つは、与党と悪政を競い合うのではなく、野党として、間違った政治には正面から反対することです。

 郵政民営化 「野党の中でも共産党の方々が、われわれとは立場は違うが、真剣に国民のために議論していた」(二十二日、都内)。自民党の与謝野馨政調会長がこうのべたように、国会論戦では、民主党の七分の一という短い時間でも、郵政民営化の本質を明らかにする中心的役割を果たしました。

 「公務員をへらし、税金の節約になる」「サービスがよくなる」といった政府の論拠を突き崩し、「国民にとって百害あって一利なし」を実証しました。(表1)

 だれのための民営化かという点でも、真の狙いは庶民のかけがえのない郵貯・簡保の資金を日米の銀行・保険業界の食い物にさせることだと指摘。与党議員が「一番大事な問題を突いた」と語りかけるほどでした。

 民主党が「将来的には民営化が本筋」(岡田克也代表)としながら、法案に反対したため「廃案を叫んでも、力がこもるはずもない」(「朝日」六月十七日付)と酷評されたのとは対照的でした。

 「小泉改革」 小泉首相が「痛みに耐えれば明日がある」とのべ、「構造改革」を打ち出したときから、日本共産党は、不良債権処理を強引に進めれば中小企業をつぶし、大規模な失業者が生まれると警告してきました。社会保障の連続改悪が国民のくらしを支える制度を根本から破壊するものだと批判しました。庶民から吸い上げ、大企業に空前の利益を与える「小泉改革」の本質は、いまや明白です。

 大増税計画 政府税調が六月に公表した庶民大増税計画は大きな衝撃を与えました。日本共産党はいち早く、「しんぶん赤旗」で「年収五百万円の四人家族で五十五万円の増税」と告発。消費税増税にも低所得者ほど負担が大きいことを示し、弱いものいじめの庶民増税に一貫して反対してきました。国民世論の反発の強さから、自民・公明・民主三党はあわてて「増税隠し」に走っています。

 憲法問題 総選挙の熱い争点である憲法問題で、日本共産党は自民・公明・民主三党の改憲勢力に対抗して、憲法改悪に反対するすべての人々との共同を進めてきました。憲法九条を守ろうと発足した「九条の会」は、全国で三千を超える草の根の「会」が結成されました。日本共産党も参加した共同の運動の発展にも、「たしかな野党ここにあり」が示されています。

■国民要求実現に尽力/サービス残業根絶へ240回超える質問

 国民の運動と力をあわせ、国政に国民要求を反映させるため、奮闘するのも野党としての責任です。「たしかな野党」日本共産党が伸びてこそ国民の要求は実現します。

 六百五億円の残業代支払い 世界でも異常な「サービス残業」根絶へ向けて、一九七六年以来、二百四十回を超える質問で追及してきました。二〇〇一年には厚労省にサービス残業をなくすための通達を出させ、これまでに総計六百五億円を超える不払い残業代が支払われました。(表2)

 介護保険の保険料・利用料の減免を実現 国政でも地方でも減免に取り組み、今では約四分の一の自治体で独自の減免制度が実施されるにいたっています。

 三十人学級実現の転機つくる 国会で九十回以上取り上げ、二〇〇二年には地方の判断で加配教員を学級担任にして少人数学級ができるよう提案。少人数学級が四十五道府県に広がる転機をつくりました。

■世界で野党外交展開/国民の平和と友好の願いを届ける

 与党・公明党でさえ“アジアに友人がいない”と認める小泉外交。国連の安保理常任理事国入りではアジアでの共同提案国はわずか三カ国。日中両国首脳の相互訪問は小泉内閣が発足した二〇〇一年の十月が最後になるなど、小泉外交は八方ふさがりです。

 こうしたなか、日本共産党は一九九九年以来、中国、東南アジア、南アジア、中東、中南米の二十カ国の政府・政権党代表との個別会談を行い、イラク戦争回避の問題や異なる文明の対話など、日本国民の平和と友好の願いを世界に運んできました。外務省内からも「共産党の党をあげての外交に感謝している」との声が出ています。

 日本共産党の野党外交は、日本で外交政策の転換が行われたら、いまのゆきづまりを脱して、日本の外交の前途に大きな展望が開かれることを示しています。

表


▼改革方針と歴史が裏付け

 日本共産党が「たしかな野党」として自民党政治と対決できるのは、それを根本的に転換する方針・改革の展望をもっているからです。

 過去の侵略戦争と植民地支配の反省を踏まえた平和外交の方針、日米安保条約をやめ平和・中立・非同盟の日本に進む方針、大企業応援型政治をやめ「ルールある経済社会」をつくる改革など、「日本改革」の方針に示されています。

 同時にその立場には、戦前・戦後八十三年の歴史で裏付けられた信頼があります。

■命がけで戦争反対

 日本共産党は、一九二二年に誕生したときから、国民主権と侵略戦争反対の旗を高く掲げました。当時、これらの主張は政府から厳しく弾圧されましたが、これに屈することなく、ただ一党、反戦平和を貫きました。いま、戦争放棄、戦力不保持を定めた憲法九条を守れと一貫して主張できるのも、こうした歴史があるからです。

■大国にもきっぱり

 日本共産党はどんな大国にもきっぱりモノを言う自主独立の党です。アメリカ言いなりの大もとにある日米安保条約の廃棄を掲げ、わが物顔で日本の基地を使う米軍の横暴と厳しく対決してきました。旧ソ連や中国が間違ったことを強行したときにも正面から批判してきました。

■汚いお金もらわず

 日本共産党は、創立以来、大企業・財界からの汚れたお金を一円も受け取っていない、ただ一つの政党です。だからこそ財界・大企業の要求ではなく、国民の利益と要求を最優先に考えて政治を進めることができます。

 毎年三百億円以上もの税金を政党が山分けする政党助成金も、「憲法が保障した思想・信条の自由を踏みにじるもの」だとして、一貫して受け取りを拒否しています。


▼悪政横行の今だから

 「こんな政治はもう終わりにしよう」――暮らしに「痛み」を押しつけ、近隣諸国との関係を台無しにしてきた4年半の「小泉政治」に、多くの人たちがそう思っているのではないでしょうか。ゆがんだ自民党の政治を正す、新しい政治が必要です。日本共産党は「たしかな野党」として、その仕事にとりくんでいる政党です。

■“痛み”の連続

 総選挙で「改革」の言葉が大はやりです。小泉内閣が「構造改革」の名で進めてきたのは、年金、医療、介護の社会保障制度の大改悪、「リストラ」応援と賃金破壊など“痛み”の連続でした。そのうえ「改革を止めるな」(小泉首相)と叫んで総選挙後に狙っているのが、庶民を狙い撃ちにする消費税の大増税、サラリーマン増税など空前の大増税計画です。

 こんな悪政が押し寄せるなかだからこそ、政権与党の横暴をやめさせ、国民の暮らしを守る野党の力がどうしても必要です。

 とくに小泉政治は、結党以来の自民党政治の害悪を極端にしているだけになおさらです。「日米同盟だから」という理由だけでイラク派兵を強行、日米の銀行・生保業界の要望を入れて郵政民営化に固執するなど、アメリカ、大企業いいなり政治は目にあまります。靖国参拝にみられるように、侵略戦争への無反省も際立っています。

 ところが、野党第一党の民主党は自らを「もう野党とは呼ばないでほしい」と“脱野党”を宣言(今年二月)。「『反自民』の考えから脱却する」というのがその理由です。自民党政治そのものに対決しないのですから、「自由民主党と民主党の違いがなかなかわかりにくくなっている」(小泉首相)状況がうまれています。

 日本共産党は、自民党が結党した最初のころから自民党政治の間違った方向に反対し、国民本位の政治の転換を求めてきた政党です。自民党政治のゆがみをただし、新しい政治を起こす方針・政策・展望も持っています。この党が伸びてこそ、政治は変わるのではないでしょうか。

■ゆがみただす

 もちろん、日本共産党はいつまでも野党でいるつもりはありません。自民党政治のゆがみをただす本格的な仕事も、民主的な連合政権で実行できます。

 しかし、それまでの野党時代にも、この仕事を果たす責任があります。野党の時代にしっかり自民党の「間違った政治」に反対し、たたかわないで、どうして政治を変えることができるのでしょうか。

 “脱野党”宣言をした民主党は自らを「政権準備政党」などといって、「政権交代」を叫んでいます。しかし、野党として自民党の間違った政治と対決しないで政権が代わっても、政治の中身はまったく変わりません。

 自民党の現職県議が民主党から立候補(奈良4区)したり、民主党の参院選候補が自民党の小選挙区候補にくら替え(大阪2区)したり、日本共産党以外の政党間の相互乗り入れが目立っています。しっかりした野党の立場がないからです。

 こんな無節操な相互乗り入れが大はやりのいまだからこそ、「たしかな野党」が伸びる必要があります。


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