2005年8月27日(土)「しんぶん赤旗」

さらに大増税ならスポーツ遠ざかる

テニス人口3割減 スキー場も四苦八苦

親しめる条件づくりを


 “2007年度を目途に消費税を含めた抜本的税制改革を実現”“年金目的の消費税導入”――自民、公明、民主のマニフェストでは、次々と増税計画が語られています。長引く不況の影響で、国民のスポーツ参加が落ち込むなか、さらなる大増税の押し付けは、スポーツ活動の大きな打撃につながります。(武田祐一、栗原千鶴)


グラフ

 「今年の夏、毎年合宿をしている宿の主人から、消費税分を料金に上乗せさせてほしいと言われました」。こう話すのは、新日本スポーツ連盟大阪テニス協会の志賀万喜子理事長(61)です。

 同協会が主催する長野・白馬サマーキャンプは今年で26回目。ロッジを1カ月間借り切り、個人や小グループがいつでもプレーできるキャンプとして好評です。

 この10年間、コート代やレッスン代などをあわせて、1泊4食付き、1万6千円で据え置いてきました。今年は、やむなく参加料金を値上げ。しかし、請求された25万円の消費税分すべてを参加者に転嫁することは難しく、協会の負担が増え、不足分は運営費などから穴埋めしています。

■売り上げ減少

 また、志賀さんがコーチ契約している民間のテニススクールでも、パートで働かなければならないと辞める人、週2回のレッスンを1回に減らす人など、スポーツに割く時間が短くなっているといいます。

 『レジャー白書2005』(財団法人社会経済生産性本部)の「余暇活動参加人口の推移」によると、1995年にテニスを行っていた人は1140万人。それが昨年は840万人と、10年間で約3割も減っています。

 東京・渋谷区にあるテニス用品専門店の店長が「ラケットなどの買い替えが少なくなっている。確実に財布のひもは固くなった」と語るように、テニス用品の売り上げも年々減少。10年前の1190億円から740億円に落ち込んでいます。

 スキーにも長引く不況が直撃しています。

 新日本スポーツ連盟・全国勤労者スキー協議会の石川正三理事長は「10年前に比べれば、いまのスキー場は本当にガラガラです。昔は並んで乗っていたリフトも、すぐに乗れる。すいているから、たくさん練習できると参加を呼びかけているくらいです」。

 スキー場の収入は10年前の1490億円から、年々減り続け、昨年は810億円にまで減少しています。スキー専門店も次々閉店。スポーツ店のスキー関係のスペースも縮小傾向です。

■増える日帰り

 スキー場のリフトなどの運営を統括する長野県索道協会によると、長野県内のスキー場リフトなどの利用者数は、98年にのべ約1億6千万人だったものが、03年にはのべ約1億1千万人になりました。スキー場では、近くのゲレンデと共通リフト券を発行したり、夏にもリフトを動かして集客するために、ユリ園をつくったり、子どもたちの昆虫採集場にしたりと工夫を凝らしています。

 石川さんはいいます。「日帰りスキーヤーも増えました。家族全員で行っていたスキー旅行も、いまでは夫と子どもだけという人もいます。親が働かされすぎて余暇も十分にとれず、スキーを経験したことのない子どもも増えています」

 不況、残業、失業…。自民党政治のもとで、国民を取り巻く厳しい状況が続き、スポーツへの参加を阻んでいます。

 今回の総選挙はスポーツする権利を取り戻すためにも、重要な選挙。日本共産党全国スポーツ後援会の木村文男・事務局長は決意を込めます。「スポーツ施設の使用料も値上げが続くなか、各党がサラリーマン増税や消費税の増税など、多くの人に負担を押し付けようとしています。これでは愛好者がますますスポーツから遠ざかってしまいます。増税に反対し、スポーツに親しめる条件づくりに力を尽くしてきた日本共産党を躍進させたい」


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