2005年8月19日(金)「しんぶん赤旗」

自民党は「小泉改革とめるな」というが…

「痛み」の先にはまた大きな「痛み」


 国民にとって「痛み」の連続だったのが小泉「改革」です。「改革を止めるな」という小泉首相は、総選挙(九月十一日投票)で勝ったら何をやろうとしているのでしょうか。


図

■郵政法案ごりおし

 小泉首相が「改革の本丸」と位置付ける郵政民営化。総選挙後の国会に、民営化法案を出し直し成立をはかる構えです。全国一律のサービスをズタズタにし、多くの国民を金融サービスから排除し、日米の金融業界に三百四十兆円の郵便貯金・簡易保険という国民の財産を明け渡そうというのが郵政民営化です。

 小泉首相は、総選挙で自民・公明両党で過半数を獲得すれば、小泉「改革」が信任されたとして、郵政民営化に象徴される「強きを助け、弱きをくじく」政治を本格的にすすめようとしています。

■社会保障費は圧縮

 “弱肉強食社会”づくりの典型が、「財政再建」を口実に社会保障費をさらに抑制し、サラリーマン増税や消費税率引き上げに踏み切る大増税計画です。

 社会保障費については、国内総生産(GDP)の伸びにあわせて、社会保障費の伸びを抑えようとする案が浮上。財政制度等審議会(財務相の諮問会議)が提言し、経済財政諮問会議(議長・小泉首相)でも議論されています。具体的には、七十歳以上の高齢者の医療費の自己負担(現行一割)を二―三割に引き上げることなどが検討されています。

 経済成長がマイナスになれば、社会保障の伸びもマイナス、景気が悪くなったら、医者にかかるのもがまんしなさいというものです。

■庶民大増税計画

グラフ

 社会保障費に最大限切り込んだうえで狙っているのが、庶民大増税です。

 政府税制調査会(石弘光会長、首相の諮問機関)はすでに消費税率の二ケタ化(10%以上)を打ち出しています。自民・公明の小泉与党も、二〇〇七年度をめどに「消費税を含む税体系の抜本的改革を実現」する(〇五年度与党税制「改正」大綱)としています。

 そのうえ、政府税調が今年六月に「就業者の八割を占めるサラリーマンの方々に頑張ってもらうしかない」(石会長)と打ち出したのは、サラリーマン増税です。所得税・住民税の定率減税の廃止に加え、仮に給与所得控除を半減し、配偶者控除と扶養控除を廃止した場合、年収五百万円の四人世帯(サラリーマンと専業主婦、子ども二人)では、年四十二万円の増税となります。消費税が10%に引き上げられた場合は、あわせて五十五万円の負担増。「消費税と重なれば超重税」(「読売」六月二十二日付社説)です。

 所得税「改革」による増税は、サラリーマンだけではなく、業者、農民、高齢者など幅広い影響を生みます。

■財界が実現迫る

 こうした小泉「改革」はいずれも財界が実現を迫ってきたものです。

 解散・総選挙にあたり、財界は「今回の総選挙では、郵政民営化のみならず、社会保障制度改革、税制改革など構造改革全般にわたる各党の姿勢が問われる」(日本経団連の奥田碩会長、八日)、「(小泉首相は)総選挙で国民の支持を受けて、郵政民営化や構造改革、官から民への流れを加速していただきたい」(経済同友会の北城恪太郎代表幹事、同)と注文をつけました。

 財界が消費税率の引き上げなど庶民増税にこだわるのは、大企業の税と社会保障の負担をいっそう軽くしたいからです。

 日本経団連は、〇三年一月に発表した「奥田ビジョン」でも、法人課税のいっそうの引き下げや、現在は労使折半となっている社会保険料の企業負担分を軽くするか、なくしてしまえと提言。その一方で、社会保障給付を大胆に抑制したうえで、消費税について、〇七年度10%、一三年度15%、一六年度18%などいくつかのケースによる消費税増税を提起しています。

 ヨーロッパ諸国と比べていまでも低い日本の大企業の税と社会保険料の負担を、さらに軽くするための財源づくりとして、庶民増税を熱望しているのです。


■競う民主/立ち向かう共産党

 民主党も衆院選へむけたマニフェスト(政権公約)で、郵政問題について、郵便貯金・簡易保険を縮小したうえで廃止も含めた「あらゆる選択肢を検討」するとしています。増税問題では、扶養控除と配偶者控除を廃止し、年金目的税を創設することを打ち出しています。

 また、「財政健全化プラン」(中間報告)では、社会保障予算の伸び率は「GDPの伸び率以下に抑制」するとまで提言しています。

 財界の意向にそって自民・公明の小泉与党と民主党が競い合う様相となっています。

 財界・大企業から献金を受けない日本共産党だからこそ、財界・金融業界が求める郵政民営化にきっぱり反対することができます。

 また、庶民にいっそうの増税や社会保障の負担増を求めるのではなく、空前の大もうけをしている大企業に応分の負担を求めなさいといえます。この日本共産党が前進してこそ、財界による財界のための「改革」に待ったをかけるたしかな力となります。


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