2005年8月17日(水)「しんぶん赤旗」
預金者保護法 注意点
全額補償のために
■他人にカード渡さない/カードに暗証書かない/暗証を他人に教えない
偽造・盗難キャッシュカードによる被害の補償を、金融機関に義務付けた預金者保護法が成立しました。日本共産党も賛成した同法は、被害救済を前進させるものです。しかし、預貯金者に何らかの過失が認められると全額補償を受けられないこともあるので要注意です。預貯金者は何に気を付ければいいのか。対策を考えてみました。(藤川良太)
預金者保護法は、ATM(現金自動預払機)での、不正引き出し被害を対象に、預金者に過失がない場合、偽造・盗難カードにかかわらず全額金融機関が補償します。しかし、預貯金者に過失があったことを金融機関が立証できると全額補償を受けられない場合も出てきます。
被害補償が皆無なのが、預貯金者に「重過失」があった場合です。
法案審議の中で「重過失」の具体例として示されたのが(1)他人に暗証番号を知らせる(2)暗証番号をカード上に書き記す(3)カードを安易に第三者に渡す―の三点。また、これと同等か、それ以上に不注意があったときも「重過失」とされます。
偽造カード被害は、「重過失」以外、全額補償されます。
■生年月日で非過失も
盗難カード被害では、「重過失」でなくても「過失」が立証されると補償が75%となります。
「過失」は、生年月日など、類推されやすい暗証番号を使用し、暗証番号を推測させる書類やメモと一緒に盗まれた場合などがそうです。
しかし、この「過失」は、金融機関の電話などによる個別的、具体的な複数回の働きかけがあったにもかかわらず預貯金者が応じなかったことを前提にしています。
暗証番号が生年月日でも、「過失」扱いされないときもあります。
金融機関は同法成立を受け、類推されやすい暗証番号の変更などを呼びかけるとみられます。預貯金者としては、類推されやすい暗証番号は変更し、金融機関の注意喚起に応えることが「過失」を問われないための対策になります。
■盗難は届け出すぐに
同法は盗難カード被害者に対して義務も課しています。金融機関や捜査機関への速やかな届け出と盗難状況の十分な説明です。
また、盗難カード被害の補償は、金融機関に通知した日からさかのぼって三十日の間にATMから引き出された金額です。入院などの特別の事情があった場合は延長されます。
■窓口取引を含む制度の確立急務
日本共産党・佐々木憲昭前衆院議員の話 預金者保護法は、偽造・盗難キャッシュカード不正引き出し被害について金融機関の原則全額補償としました。預金者に過失があったかどうかを立証する責任も金融機関が負うなど被害救済の第一歩となるものです。
ただし今度の法律では、対象はATM(現金自動預払機)の取引に限られ、盗難通帳などを使った窓口での不正引き出し被害は補償の対象外となりました。過去五年間の盗難通帳による不正引き出し被害は全国銀行協会調査によると件数、被害額とも同時期の偽造カード被害の約八倍です。預貯金の安全・安心を取り戻し多くの被害者を救済するために窓口取引を含む全面的な補償制度の確立が急務です。
日本共産党は、引き続き、預貯金全体を対象とした保護制度確立のために奮闘します。
▼預金者保護法骨子
▼偽造・盗難カードでATMを使い不正な預貯金引き出し被害を受けた場合の補償を原則金融機関に義務付け。補償の割合を決める過失の立証責任も金融機関が負う。
●偽造カード被害の補償
預貯金者の「重過失」が立証されなかった場合 全額補償
「重過失」が立証された場合 補償なし
●盗難カード被害の補償
(預貯金者は盗難されたことを金融機関や捜査機関に速やかに通知することが必要。特段の事情を除き、金融機関に通知した日から30日さかのぼった間に払い戻された金額が対象)
預貯金者の「過失」が立証されなかった場合 全額補償
「過失」が立証された場合 被害額の75%補償
「重過失」が立証された場合 補償なし
(盗難が配偶者、同居か2親等以内の親族、同居人や家事使用人によって行われた場合や戦争や暴動など社会秩序の混乱の中で行われた場合も補償なし)

