2005年8月17日(水)「しんぶん赤旗」

民意ゆがめる民主政権公約

「衆議院比例区の定数を80削減」明記


 民主党が十六日に発表した政権公約(マニフェスト)の政策各論に「衆参国会議員の定数を1割以上削減」「衆議院比例区の定数を80削減します」と明記したことは重大です。

 国会議員は、国民と国政を結ぶパイプの役割をもっています。定数を削減することは、そのパイプを細くし、多様な国民の声を国政にすくい上げることをはばむ危険をはらんでいます。実際、欧州諸国の議員数は、人口比で日本の二倍以上です。

 そのうえ、衆院比例定数を現行の百八十から一挙に八十削減することには、特別の問題があります。

 衆院選挙制度は、一選挙区から一人を選ぶ全国三百の小選挙区と、全国十一のブロックごとに政党を選び、得票数に応じて当選者が決まる比例代表の選挙があります。

 小選挙区制は、一つの選挙区から一人だけ当選するため、比較第一党が得票以上に議席を独占するなど大政党に有利で、議席に結びつかない「死票」が多くなります。一方、比例代表は得票数に応じて各党の当選者数が決まるため、多様な民意が正確に議席に反映される民主的な選挙制度です。

 民主党の政権公約のように、比例定数を一挙に八十も削減すれば、それだけ民意をゆがめ大政党に有利な議席構成となる小選挙区の比重が高まります。これでは、大政党以外は国会から人為的に締め出されかねません。選挙制度を変えて、少数政党を国会から追い出すというのは、民主主義に反する暴挙です。

 民主党は、前回総選挙(二〇〇三年)でも、二大政党制の実現を名目に、衆院比例定数80削減を政権公約に掲げました。菅直人代表(当時)は「衆院にかんしては日本では将来的に単純小選挙区だけの定数三百もありうる」(〇三年九月三日)とまで語りました。

 選挙制度を人為的に改悪して「二大政党」制の実現をはかろうというのは、最悪の党利党略です。(小林俊哉)


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