2005年8月16日(火)「しんぶん赤旗」

つくる会教科書 鎌倉市が不採択


 神奈川県鎌倉市の教育委員会は十五日、来年度公立中学校で使う教科書を採択し、「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史・公民教科書(扶桑社版)を不採択としました。

 歴史、公民ともに、教育長と四人の委員の計五人のうち二人が扶桑社に投票、三人が同一の他社に投票しました。約百二十人の市民がかたずをのんで見守るなか、投票結果が発表されると、傍聴席からは安どのため息がもれました。

 冒頭、学校長や父母などで構成する「教科用図書採択検討委員会」が、各教科書を評価した研究報告書が配布されました。同書では、歴史、公民ともに扶桑社の教科書は、三段階のうちもっとも低い評価となっていました。現場の教職員が選ぶ学校票でも一票の支持もありませんでした。

 「つくる会」は、同市を教科書採択の“決戦場”と位置づけ、扶桑社の教科書を採択させるために力を集中。これに反対する市民らは、二十回にもおよぶ学習会、ニュースの配布、教委の傍聴や要望など、四年間にわたり運動を広げてきました。

 「鎌倉子どもと教科書ネット21」事務局の井上ユリさん(52)は「薄氷を踏む思いでしたが、ほっとしました。市民の力で採択こそ阻止しましたが、検討委員会や学校票など現場の考えが顧みられなかったことは今後の課題です」と語りました。

 同事務局で、元中学校社会科教師の郡司春乃さん(70)は「教科書問題は、子どもたちのためにどんな社会を目指すのかという重大な問題。憲法と教育基本法の改悪阻止の運動とつなげ、草の根の運動を広げていきたい」と話していました。


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