2005年8月9日(火)「しんぶん赤旗」

主張

郵政法案否決

道理のない小泉政治の落城


 参院本会議で郵政民営化法案が、日本共産党、民主党、社民党、自民党の一部議員の反対によって、大差で否決されました。

 日本の財界とアメリカ政府が全面支援し、小泉内閣が「改革の本丸」として成立に執念を燃やしてきた民営化法案が葬り去られました。

 「本丸」が落城した以上、本来なら総辞職するのが当然です。しかし、小泉首相は衆院を解散し、道理のなさがはっきりした郵政民営化に固執しています。国民の審判でとどめをさす必要があります。

■民営化の理由すら

 政権をあげての民営化キャンペーンにもかかわらず、ついに国民の納得を得ることはできませんでした。

 高知県議会は「民営化が行われると営利を追求せざるを得ず、不採算地域は切り捨てとなり、いわゆるユニバーサルサービスが提供できなくなるおそれがある」と、民営化反対の意見書で批判しています。すべての都道府県議会、圧倒的多数の地方議会が民営化に反対・懸念を表明する意見書を議決してきました。

 郵政は郵便、郵貯、簡保を一体で運営し、税金を一切使わずに国民生活を支えています。なぜ、あえて分割し民営化しなければならないのか、政府・与党は、その根本を明確にすることすらできませんでした。

 小泉首相は郵政民営化を「改革の本丸」と位置付ける理由として、特殊法人への資金の流れを断ち切る大改革だからだと説明してきました。

 ところが、すでに二〇〇一年の「財投改革」で、郵貯資金を特殊法人に自動的に流す制度は廃止されています。首相の主張にまったく根拠がないことは明らかです。天下り・政官業の癒着や大型公共事業の浪費など、特殊法人の無駄遣いの構造にメスを入れるという、政治が本来果たすべき責任を回避する議論です。

 郵政民営化で「小さな政府」にする必要があると竹中大臣は強調します。郵政は独立採算で経営し、職員の人件費にも税金を使っておらず、民営化しても歳出は減りません。日本は公務員の人件費や人口比の人数も主要国で最低です。

 何より、小泉内閣は五兆円もの軍事費を聖域にし、国内総生産比で欧米の二・六―八・五倍に達する公共事業を温存しています。「小さな政府」論を振りかざして、郵政サービスや社会保障など、くらしの支えを削ろうとしていることは許せません。

 これまで「郵政は官業だから肥大化する」と言ってきたのに、最近は「国営のままだとジリ貧になる」と正反対の主張に一転しました。

 これほどずさんな議論しかできないのは、もともと郵政民営化が、日米の金融業界、日本の財界とアメリカ政府の要求に発するものだからです。そこに、国民にきちんと説明できない理由があります。

■政治に新たな局面を

 郵便局・郵政サービスを危機に陥れる民営化法案の否決・廃案は、国民世論、とりわけ社会的に弱い立場に置かれた国民の大きな勝利です。

 郵政民営化法案をめぐる自民党の大混乱の根本には、内政・外交とも自民党政治が大もとからゆきづまっている問題があります。これは、自民と民主の「二大政党」では打開できません。自民党政治そのものと対決する日本共産党の前進こそ、政治に新しい局面を開くものです。

 総選挙は、庶民大増税や九条を中心とする改憲の流れを変える大きなチャンスです。そのための確かな力、日本共産党に大きなご支援をお寄せください。


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