2005年8月7日(日)「しんぶん赤旗」
記念式典あいさつ
被爆60年 重み理解しない首相
解説
広島の平和記念式典でもっとも拍手の少ない来賓あいさつは、被爆六十周年の今年も小泉純一郎首相でした。当然です。毎年繰り返してきたウソを、今年も平気で持ち出してきたのですから。
「(被爆者)援護施策に誠心誠意努力します」。それならなぜ、四年間も被爆者との面会を拒否し、要望を聞こうとしないのか。
「平和憲法を順守します」というのならなぜ、自民党総裁として憲法の全面改悪、とりわけ九条改悪を指示し、「米軍とともに戦争できる国」をめざしているのか。
「国際社会の先頭に立ち、国際的な核軍縮・核不拡散のための取り組みを推し進め、核兵器の廃絶に全力で取り組みます」。これも大ウソです。
逆に国際社会の先頭に立って、ブッシュ米政権の核先制使用政策を擁護し、米国の核戦略の一端を担う危険のある「ミサイル防衛」導入を進めています。米国による新型核兵器開発を、一度たりとも批判したことはありません。
戦後六十年の今年、日本のアジア諸国への侵略戦争・植民地支配の責任が問われています。
首相はこれらの問題にまったく言及しないばかりか、靖国神社参拝などの行動を繰り返し、平和を願う日本国民やアジア諸国民の感情を踏みにじってきました。
一方、同式典であいさつした河野洋平衆院議長は、「六十年前の原爆投下まで、アジアの中で進路を誤り戦争への道を歩んだこと」が、日本の「過ち」だったと断じました。
河野氏も被爆者の願いに背を向けてきた自民党政治の一員です。それでも、被爆六十年の重みをまじめに考えたら、ここまでいわざるをえないのです。
使い古しのウソを残して、さっさと被爆地を立ち去る首相は、被爆六十年の重みを何ら理解していないといわざるをえません。(竹下岳)