2005年7月28日(木)「しんぶん赤旗」

核禁止条約締結訴え

パグウォッシュ会議閉幕 「核ある限り使われる」

「広島宣言」発表


 二十三日から広島で開かれていたパグウォッシュ会議年次総会は二十七日、「各国の安全を保障する最良の道は核兵器禁止条約の締結であることを核保有国は認識せよ」と呼びかける「広島宣言」を発表して閉幕しました。

 宣言は、「新型核兵器が提案され、核兵器使用にいっそう依存するような軍事戦略の再編が行われている」として、米国など核保有国を批判。核の危険を低下させる当面の措置として、核不拡散条約(NPT)の義務の尊重や包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を呼びかけています。

 宣言は「核兵器が存在する限り、それはいつか使われる」とし、核兵器を禁止する条約の締結を求めています。また、核兵器の禁止、削減に先立ち、「戦略・戦術核兵器の数を大幅に削減する」よう訴えています。

 閉会総会ではスワミナサン会長が講演。テロ組織などの「非国家による核使用を防止するためにも、核保有国は核兵器の存在をゼロにする目標に向け一日も無駄にせず行動すべきだ」と結びました。

 パグウォッシュ会議は、核廃絶をめざす各国の科学者の国際組織。日本での年次総会開催は一九九五年以来、二度目で、四十カ国から百七十人の科学者が参加しました。来年の総会はカイロで開かれます。


■「広島宣言」(要旨)

 二十七日に閉幕したパグウォッシュ会議年次総会の「広島宣言」の要旨は次の通り。

 一、パグウォッシュ会議が前回広島で会合した一九九五年以来の十年間、核の脅威をめぐる状況は著しく悪化した。この期間に、新たな諸国が核を保有し、核軍縮に見るべき前進はなく、新型核兵器が提案され、核兵器使用にいっそう依存するような軍事戦略の再編が行われている。

 一、核の危険を低下させる当面の措置として、核不拡散条約(NPT)の義務の尊重や包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を、すべての国に呼びかける。それを超えて、各国の安全を保障する最良の道は核兵器を禁止する条約の締結であることを認識するよう核保有国に要請する。

 一、核兵器は違法で非道徳的であると宣言されるべきだ。核兵器の禁止、削減に先立ち、軍事戦略で核の役割を低下させ、戦略・戦術核兵器の数を大幅に削減する措置をとるべきだ。

 一、科学者や市民は、核兵器の使用が、いつであれ、警告なしに、世界のどこであれ起こりうるという脅威を直視すべきだ。政治指導者や政府首脳に対するわれわれのメッセージは単純、明快だ。核兵器が存在する限り、それはいつか使われる、ということだ。

 一、「あなたの人間性を想起せよ。その他すべてのことは忘れよ」という一九五五年のラッセル・アインシュタイン宣言(パグウォッシュ会議発足の契機となった宣言)の精神で行動してのみ、核の破局は回避できる。広島、長崎で起こったことを決して再発させてはならない。


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