2005年7月26日(火)「しんぶん赤旗」
中南米の視点で放送開始
4カ国が共同出資
新テレビ局「テレスル」
【メキシコ市=松島良尚】中南米の統合を推進するため、ベネズエラとアルゼンチン、キューバ、ウルグアイが共同出資して設立した新テレビ局「テレスル」が二十四日、放送を開始しました。「テレスル」は、中南米全体をカバーする米国や欧州の番組に対抗し、中南米の人々の視点から自分たちの地域の出来事や文化などを伝えようとするものです。
放送は本社が置かれているベネズエラの首都カラカスから行われました。二十四日は、南米諸国を独立させた英雄シモン・ボリバルの生誕二百二十二年にあたります。
「テレスル」ニュース担当のパトリシア・ビジェガスさんによると、初日の放映は開局記念式典、ニュース、ドキュメンタリー、ラテンアメリカ映画など八時間半。ベネズエラのほか、アルゼンチン、コロンビア、ウルグアイ、ブラジル・リオデジャネイロの各契約チャンネルで視聴されました。
「テレスル」社長でもあるベネズエラのイサラ通信・情報相は記念式典で、「『テレスル』は、情報分野における現在の国際秩序に割り込み、これまで沈黙させられていた視点と声を届けるという明白な重要性を持つ」とのべました。
「テレスル」を提唱した同国のチャベス大統領は大統領府から電話で祝辞を送り、「『テレスル』が今後立ち向かわなければならない挑戦を乗り越えるカギは、真実に固執し、新しい世界の建設に貢献することだ」と強調しました。
米政府は「テレスル」放送前からその影響を懸念。米下院は二十日、「正確で客観的な」情報を米国からベネズエラに発信するテレビ・ラジオ放送を認める法案を可決しました。この干渉は、ベネズエラ内外で批判を呼び起こすとともに、「テレスル」の重要性を逆に浮き彫りにするものとして受けとめられています。
「テレスル」の二日目以降の放送は、ニュース中心に一日四時間。九月から番組を拡張する予定です。ボリビアとブラジルはすでに支局を開設し、アルゼンチン、キューバ、メキシコ市、ワシントンでも近く配置する見通しです。