2005年7月23日(土)「しんぶん赤旗」

改悪自衛隊法が成立

「ミサイル防衛」 迎撃は現場判断に

共産党反対


 「ミサイル防衛」システムによる弾道ミサイル迎撃の手続きなどを盛り込んだ改悪自衛隊法・防衛庁設置法が二十二日の参院本会議で、自民、公明の与党による賛成多数で可決、成立しました。政府が二〇〇六年度末から配備を始める「ミサイル防衛」システムの運用に関する法的な枠組みになるもの。武力行使が認められる防衛出動が発令されていない段階でも、迎撃ミサイルの発射を可能にしています。日本共産党、民主党、社民党は反対しました。

 改悪法は、現行の自衛隊法に弾道ミサイルの「破壊措置」に関する条項を新設。(1)弾道ミサイル発射の兆候をつかんだ場合には、首相の承認を得て防衛庁長官が現場の自衛隊指揮官に、飛来してきた際の迎撃を命令する(2)弾道ミサイル発射の兆候をつかめず、突然、飛来してくる場合に備え、平時から防衛庁長官が現場指揮官に迎撃命令を出しておく―という二つの対応を規定しています。

 後者の規定を発動すれば、現場指揮官の判断だけでいつでも迎撃ミサイルの発射ができるようになります。

 改悪法はまた、陸海空三自衛隊の統合運用態勢への移行を新たに規定しました。陸海空三自衛隊の調整機関にすぎなかった統合幕僚会議と同事務局を廃止し、防衛庁長官の補佐機関として「統合幕僚監部」とその長である「統合幕僚長」を新設。これまでは別々に行われてきた陸海空三自衛隊の部隊運用を、統合幕僚長のもとで一元的に実施できるようにしました。


 ▼ミサイル防衛 弾道ミサイルを迎撃ミサイルで撃ち落とすシステム。日本政府は二〇〇三年十二月、米国からの導入を閣議決定しました。地上配備の迎撃ミサイル(PAC3)を〇六年度末に、イージス艦搭載の迎撃ミサイル(SM3)を〇七年度中にそれぞれ初期配備し、一二年度末に当初の計画の配備をすべて完了する予定。約一兆円の費用がかかるとされます。しかし、システムの実験は初歩的段階で、実戦に使えるかどうか、いまだ実証されていないという大問題も残されています。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp