2005年7月20日(水)「しんぶん赤旗」

主張

高齢者医療制度

「豊か」という前提は偽り


 政府が、新しい「高齢者医療制度」の創設を計画しています。六十五歳以上を対象に、「七十五歳未満の前期高齢者」と「七十五歳以上の後期高齢者」に分け、後期は独自の医療保険をつくることを検討しています。前期については現役世代と同じ保険で対応する方向です。

■被扶養者からも保険料

 ねらいは、高齢者に「現役世代との均衡を考慮した適切な保険料負担を求める」(二〇〇三年三月二十八日閣議決定)ことです。いまでも、高齢者は国保か健保の保険料を負担しています。わざわざこう明記するのは、健康保険の被扶養者となっている低所得の高齢者からも保険料を徴収するためです。配偶者や子どもの扶養を受けている高齢者は前期で百七十万人、後期で二百四十万人、合わせて四百十万人です。これらを含むすべての高齢者から保険料を取り立てる―。これが高齢者医療制度の柱です。

 独自の医療保険の対象を、六十五歳からにすべきだとする日本経団連の意見もありますが、すべての高齢者から保険料を徴収する点は政府も財界も同じです。

 小泉内閣は、「高齢者は全体としてみると、経済的に豊かになっている」(高齢社会対策大綱、〇一年十二月)として、老人医療でも〇二年十月には、定額制・上限制の廃止、定率負担の徹底を実施しました。

 しかし、高齢者の収入は、“豊かになった”などとはいえません。

 二〇〇〇年の高齢者の収入(年金、就労、家賃収入、仕送りなど)をみると、「ない」を含む「百万円未満」が、七十五歳以上で52%、七十五歳未満でも38%にのぼります(社会保障審議会医療保険部会資料)。

 〇三年の収入を調べた〇四年国民生活基礎調査(六日)では、年収二百万円未満の高齢者世帯が三年前の39・4%から42・6%へと増えるなど、低収入傾向が進んでいます。

 現行一割負担の患者負担増も検討されています。小泉内閣は、前期高齢者を対象に負担率の引き上げを「検討する」(基本方針)といいます。国保や健保に引き続き加入することになるので、「公平性」の確保のために、現役世代との「不均衡を調整」する必要があるとしています。

 〇二年の医療改悪では、一定所得(八月から、夫婦で年収六百二十一万円)以上の高齢者(七十歳以上)は二割負担になりました。これを三割負担に引き上げるという方向が浮上しています。しかし、高齢者に現役世代と同じ患者負担をかぶせるのは間違っています。

 病院に行く必要がある有訴者率(自覚症状のある人の割合)は、高齢者(七十歳以上)は、現役世代(二十五―六十四歳)に比べ二・一―一・四倍です(〇四年国民生活基礎調査)。

■必要な医療を抑制

 「高齢者一人当たり医療費が現役世代と均衡のとれたもの」にという政府の方針は、必要な医療の半分しか受診するなというのと同じです。

 高齢者世帯の収入(平均)は、ピーク時の一九九八年と比べ、〇三年は四十四万円も減っています。要因の一つは就労による収入の大幅減です。「収入のすべてが年金」という高齢者は64%にのぼります。公的年金が頼りなのに、政府・与党は、年金の連続的な給付減と負担増を盛り込んだ改悪法を推進しています。

 経済的に豊かになった、などという偽りの前提にたって、高齢者に負担増をかぶせ、必要な医療を受けさせないようにする。こんな高齢者医療制度の計画はやめるべきです。


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