2005年7月10日(日)「しんぶん赤旗」
冷蔵庫JIS基準改正へ
消費電力の過少表示ダメ
本紙指摘 経産省が準備作業
電気冷蔵庫の消費電力量表示が実態とまったくかけ離れ、電気代を不当に安くみせていた問題(本紙六月十日付既報)で、経済産業省は九日までに、消費電力を測定するJIS(日本工業規格)基準を「可能な限り早急に改正したい」として、原案作成の準備にとりかかっていることを明らかにしました。
日本電機工業会を事務局にして素案づくりに着手しており、今後、メーカーや消費者団体などが参加する「原案作成委員会」をつくり検討していきます。
「消費者をあざむく表示」という本紙の指摘に大手家電メーカー各社は「消費者に誤解」を与えるものと認め、最新カタログの表示を修正しています。
電気冷蔵庫の消費電力は、経済産業大臣制定のJIS基準で測定したものが表示されています。JIS基準では、結露防止ヒーター類、野菜の凍結防止などのための温度保証用ヒーター類などの機能は、「スイッチを切った状態で測定」していました。メーカーが「実使用に近い使い方」で測定したデータは、JIS数値の三―四倍にもなっていることが、本紙の取材で明らかになりました。
この乖離(かいり)について、経済産業省の情報電気標準化推進室は、「高機能化する前の冷蔵庫を想定した測定の仕方」だったためといい、今後、「実使用の状態に近いJIS基準にしたい。ヒーター類は入れる方向だ」といいます。日本電機工業会も「ヒーター類は当然、通電させた測定方法になる。素案づくりを始めている」と話します。
一方、経済産業省資源エネルギー庁の外郭団体、省エネルギーセンターが発行している『家電製品の省エネ性能カタログ』では、依然として実態とは大きく異なるJIS年間消費電力量をもとに、年間電気代を独自算出し、消費者をあざむく情報を流しています。
このことについて、同センターを管轄する資源エネルギー庁の省エネルギー対策課は、「補足の説明を書くかなど、どうしていくか検討しているところだ」といいます。