2005年7月1日(金)「しんぶん赤旗」

コーラン冒涜を証言

破り捨て/大音響で祈り妨害

グアンタナモ米軍基地

元収容者のロシア人


写真

「障害者や旅行者も収容されていた」と語るワヒトフ氏=28日、モスクワ市内(田川実撮影)

 【モスクワ=田川実】キューバのグアンタナモ米軍基地の収容所に一年半拘束されていたロシアのイスラム教徒、アイラト・ワヒトフ氏(28)がこのほど、モスクワ市内で記者会見し、聖典コーランの破り捨てや拷問など、収容所内の実態を証言しました。同氏は近く、無実の正式な証明と賠償を求め米政府を提訴する予定。会見に同席した支援者の一人、イリーナ・ハカマダ前ロシア下院議員は、「『対テロ戦争』『対テロ同盟』は人権侵害を正当化できない。これで有効なたたかいができるのか」と批判しました。

■便所に捨てる

 ワヒトフ氏は、二〇〇〇年に過激派ウズベキスタン・イスラム運動(IMU)により、滞在先の中央アジアのタジキスタンからアフガニスタンに拉致され、当時のタリバン政権の収容所に。ロシアのスパイと疑われていました。

 〇一年末、アフガン攻撃で入って来た米軍の情報将校が、他の収容者とともに一人五千ドルでタリバン側から買い取り、今度はカンダハルの米軍の収容所に。逮捕状などはもちろんありませんでした。

 グアンタナモに移送されたのは〇二年六月。〇一年の米同時多発テロの詳細もそこで初めて知ったといいます。

 両米軍収容所では、お祈りを大音響のロック音楽で邪魔する、コーランを踏みつけたり便所に捨てるなどのイスラム教徒への虐待が横行。〇三年夏にはグアンタナモの収容者約三百人が抗議のハンストを一カ月以上行いました。

■犬けしかける

 強い光をあてて眠らせない、犬をけしかけられる、十五分おきに別の房に移されるなどの拷問も受けましたが、尋問ではタリバンとの関係よりも、ロシア軍、連邦保安局(FSB)の情報を求められたといいます。

 ワヒトフ氏は、イスラム教地域のロシア・タタルスタン共和国出身。二十一歳で伝道師となり、一九九九年初めに知人の結婚式で訪れたチェチェン共和国で武装集団に拉致され、その後脱出しました。

 同年九月からのロシア連邦軍のチェチェン侵攻後は、武装集団とのつながりを疑われFSBに拘束されています。〇四年二月にロシア政府の働き掛けで、他のロシア人六人とともに帰国しましたが、同年六月までロシア当局に拘束され再び取り調べられました。

 自由を得て一年後の記者会見。ワヒトフ氏は「結婚したが、仕事はうまくいってない。体調も悪い。これ以上当局のシナリオ通りに生きるのはいやだと思い、話をした」と述べました。


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