2005年7月1日(金)「しんぶん赤旗」

サラリーマン増税問題

志位委員長の演説から


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「庶民への大増税計画を進める自公民に都民の審判を」と訴える志位委員長(右)=30日、東京・新宿駅西口

 日本共産党の志位和夫委員長が、三十日におこなった街頭演説のなかで、サラリーマン大増税について訴えた部分(要旨)を紹介します。

 サラリーマン大増税の問題が、都議選の争点の一つに大きく浮上してきました。この問題は直接には国政の問題ですが、都議選での審判が強く求められると思います。

■家計と経済に大打撃

 二十一日に政府税調が発表したサラリーマン大増税の計画――「個人所得課税に関する論点整理」は、第一に、家計と経済に大打撃を与える巨額の規模の増税計画となっています。

 「論点整理」にもりこまれた増税案がすべて実施された場合の増税規模は、とほうもないものになります。

 所得税・住民税では、定率減税廃止による増税にくわえて、配偶者控除、扶養控除、給与所得控除など各種控除の廃止・縮小による増税が打ち出されています。

 所得税・住民税の増税総額は十二兆円。年収五百万円のサラリーマン世帯には、年間四十二万円の増税になります。

 重大なのは、政府税調はすでに「消費税を二ケタ税率に」という方針を打ち出しており、所得税・住民税の大増税を、消費税の大増税とセットですすめようとしていることです。

 消費税の増税総額は十二兆円。所得税・住民税の増税とセットで二十四兆円の巨額増税です。年収五百万円の世帯には、年間五十五万円の増税となり、手取りの給料がまるまる二カ月分奪われることになります。

 サラリーマンの家計を破壊し、日本の経済も景気も破壊する大増税計画は、絶対に許すわけにはいきません。

■所得が少ないほど負担

 第二は、所得の少ない人ほど負担が重くなる庶民いじめの大増税だということです。

 もともと各種控除は、衣食住など最低生計費には税金をかけない――配偶者の場合も、扶養している子どもの場合も、サラリーマン本人についても、生きていくことに必要な最低経費には税金をかけないという考えでつくっているものです。この根底には憲法二五条が定める生存権の保障があります。各種控除をとりはらえば、「生計費非課税」「応能負担」という税制の民主的原則が根本から破壊されることになります。

 まず課税最低限が異常なまでに低くなります。すでに日本の所得税の課税最低限は、主要五カ国でもっとも低く、四人世帯で、三百二十五万円です(アメリカ三百五十八万円、イギリス三百五十九万円、ドイツ五百一万円、フランス四百三万円)。それが百十四万円まで下がります。これは、生活保護基準の半分程度にあたります。

 また、所得の少ない人ほど負担は重くなります。所得税・住民税の増税率は、年収四千万円で14%、二千万円で33%、一千万円で96%、七百万円で183%、五百万円で263%、四百万円で460%、三百万円で3207%、二百万円では、非課税から課税になるため、無限大です。

 政府税調の総会では、石会長は「生活保護(世帯)から税金をとってもいいのではないかという議論もある」とまでのべました。生存権を破壊する暴挙は許せません。

■サラリーマン増税 所得の少ない人ほど負担が重く

年収(万円)増税率(%)
200無限大
3003207
400460
500263
700183
100096
200033
400014

※4人家族で妻が専業主婦、子ども2人の場合。増税率は所得税と住民税の増税額を現行税額で割ったもの

■大企業・金持ち減税には手をつけず      

 第三は、大企業、金持ち減税には手をつけないことです。

 この間、大金持ちにたいしては、所得税・住民税の最高税率の引き下げとともに、二〇〇三年の税制改定で、株式配当・株式売却益への税金を劇的に減らすなど、いたれりつくせりです。法人税の引き下げなどで、(税収は)約二十兆円から十兆円に半分にも減りました。額に汗して働く人にむごい増税をくわえ、ぬれ手で粟(あわ)の錬金術師や、リストラで勤労者からしぼりあげて大もうけをあげている大企業だけを優遇する税制でいいのでしょうか。

■共産党を伸ばしてこそ、たしかな増税反対

 各政党の態度はどうでしょうか。

 自民・公明は、大慌てです。“都議選前に出すなどとは、「タイミング」が悪い”――。立場が透けてみえるではありませんか。「タイミング」ではなく、中身が悪いのです。

 「政府与党が『大増税』を決めたわけではありません」ともいっています。しかし、今回の政府税調の「論点整理」は、昨年十二月に合意した与党の「税制改正大綱」で、「所得税においては、税率構造・控除双方の見直しを視野に入れ、検討を進める」としたことの具体化として打ち出されたものです。自分で増税の旗を振っておきながら、「増税反対」ポーズは通用しません。

 民主党は「サラリーマン増税に審判を」といっています。ちょっと待ってほしい。自民・公明とともに増税の旗振りをしてきたのが民主党ではありませんか。

 消費税増税の旗振りをもっとも熱心にすすめているのは、民主党です。

 所得税についても、昨年の参院選の政策で「『控除主義』を改め」よ、「扶養控除や配偶者控除、配偶者特別控除等の人的控除を見直せ」と公約してきたのが、民主党です。今年、民主党がだした「予算案」では、「(所得税の)扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除を廃止」と明記しています。「控除廃止」による大増税の旗振りをしてきた民主党が、「大増税に審判を」などというのは、都民をあざむく、許しがたいごまかしではありませんか。

 都議選での都民の意思表示が大切です。庶民増税にいっかんして反対を貫いてきた日本共産党を伸ばして、サラリーマン大増税の計画にストップをかけようではありませんか。


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