2005年6月29日(水)「しんぶん赤旗」

都議会に民主党が2つ?

都議選真っ最中、双方を公認


 民主党は、東京都議選(七月三日投票)の真っ最中に都議会の会派が分裂する事態になっています。

 田中良(杉並区)、和田宗春(北区)の両都議らが二十七日、これまでの都議会民主党に対抗して、民主党東京都議会議員団を結成しました。

 しかし、都議選はどちらも民主党公認でたたかうというのですから、有権者には何が何だか訳が分かりません。

 ■きっかけは「やらせ質問」

 分裂のきっかけは、民主党と石原慎太郎都知事側との癒着を白日のもとにさらした「やらせ質問」問題です。民主党は、石原知事、浜渦武生副知事側からの依頼で、社会福祉総合学院の運営に関し、「やらせ質問」を実行(三月十四日、予算特別委員会)。浜渦氏は、百条委員会での証人喚問で質問依頼を否定したことが偽証と認定され、同氏に対する問責決議が可決されています。

 石原知事、浜渦副知事と“共犯”の都議会民主党は、浜渦副知事の問責決議に反対し、同氏をかばう先頭に立ちました。ところが、この問責決議に会派の方針に反して六人が賛成にまわり“造反”。これに対し、都議会民主党の名取憲彦幹事長(大田区)は、「会派の分裂を助長した」と田中、和田両氏を“首謀者”として会派から除名しました。

 除名された田中氏は「知事、副知事擁護に終始する執行部は、都民の常識からも大きくはずれている」と反論。“泥仕合”のなか、「民主党都議団」を結成したのです。

 ■知事批判には“敏感”に

 「やらせ質問」の主役の一人である名取幹事長は、知事批判にはことのほか“敏感”になっています。民主党東京都連が「議員の最大の仕事は行政のチェック。これができない議会でいいのか」という「プレス民主」号外の版下を電子メールで所属候補に送ると、「それが民主党全体の見解であるかのように示すことは、まったくの越権」と「厳重抗議」し、「間違っても都民に配布されることがないよう厳正かつ早急に対応すること」を求めました。

 要するに、都議会の「チェック機能」など放棄して知事と癒着する民主党の姿勢が大問題になっているのに、それにはほおかむりして選挙で「野党ポーズ」をとる同党の深刻な矛盾が露呈しているのです。

 「民主党都議団」の田中氏は「知事の人気にぶら下がる与党は、一切知事の責任に言及しません。残念ながら民主党の中にも同様の議員がいます」と批判してみせます。しかし、この四年間、民主党として石原都政の福祉切り捨て、大型開発のむだ遣いなどすべての悪政を推進してきたことは、他の民主党都議となんら変わりありません。

 都議選で、民主党の岡田克也代表は「(石原都政に対し)アクセルとブレーキを踏み分けることができる民主党」という言葉を繰り返しています。しかし、石原知事と都議会民主党との癒着、知事と二人三脚で悪政への「ブレーキ」を一度たりとも踏まず、ひたすら「アクセル」を踏みつづけてきたことには一切、口をつぐんでいます。都議会民主党の分裂騒ぎは、都民を欺く同党の政治姿勢を問うものとなっています。(小)


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