2005年6月26日(日)「しんぶん赤旗」

主張

靖国参拝問題

戦争観を問う批判が世界から


 「日本のために無罪判決を求める戦争神社」(ニューヨーク・タイムズ二十二日付)。「東京の神社がアジア中の怒りの的」(USAトゥデー二十三日付)。こんな見出しで、米紙が相次いで靖国問題をとりあげました。アジアにとどまらずアメリカでも問題にされ、しかも、靖国神社の戦争観とそれへの首相の態度という、問題の核心に迫っていることは、非常に注目されます。

核心つく新しい解明

 ニューヨーク・タイムズは、「米国は大恐慌からのがれるために、真珠湾攻撃を日本に強要した」という靖国神社の主張を紹介し、「靖国史観は、ほとんどのアジア人、アメリカ人が受け入れることができない」ものだとのべています。

 USAトゥデーも、アジア・太平洋戦争について靖国神社が「(日本の)独立と平和を維持し、全アジアを繁栄させるため」の戦争だったとして、A級戦犯を「『連合軍のでっちあげ裁判で戦犯の汚名をきせられ』た殉難者だと描いている」ことを紹介。小泉首相の靖国参拝をアジア諸国が「過去へ反省を示すことを日本が拒否していることの象徴」とみている、と書いています。

 こうした論点は、不破議長が日本共産党時局報告会(五月十二日)での講演(「日本外交のゆきづまりをどう打開するか 戦争終結60周年 アジア諸国との最近の関係をめぐって」)で行った、靖国問題での新しい解明と共通しています。

 不破議長は、「日本には戦争犯罪などなかった、敵である連合軍が一方的な裁判で押しつけた濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)だ、その立場でA級戦犯を神さまとして合祀(ごうし)したというのが、靖国神社の公式の立場」であり、「正しい戦争」だったと宣伝する「特定の政治目的を持った運動体」になっていることを解明。首相が「政治運動体」の靖国神社に参拝するのは「戦没者への追悼という気持ちを『日本の戦争は正しかった』という立場に結びつける」ことになると批判しました。

 本紙五月二十七日付の「“靖国史観”とアメリカ」は、ルーズベルト大統領が日本に「開戦を強要」したなどとして、太平洋戦争開戦の責任をアメリカに押しつける靖国神社の戦争観をあきらかにしました。

 こうして、侵略戦争を正当化する靖国神社の戦争観が問題になり、それへの態度が鋭く問われるようになっています。日本の新聞でも、次のような指摘がされています。

 「東京裁判の結果を『ぬれぎぬ』と訴える靖国神社に首相が参拝することは、そうした主張にお墨付きを与える意味をもつ」(「朝日」社説五月二十八日付)。「靖国には首相も『戦争犯罪人』と認めるA級戦犯、戦争を指導した人たちが『昭和の殉難者』としてまつられています」(「東京」社説十九日付)

 不破議長講演や本紙の一連の論文・ルポ等で、靖国問題について新しく解明したことが、国内外の多くの人々と響きあっています。広く、深い議論がおこなわれることは、平和のために重要な意味をもちます。

孤立ではなく中止を

 二十日の日韓首脳会談でも、韓国の盧大統領は、靖国神社には「過去の戦争を誇り、栄光のように展示」してあり、「小泉首相がどう説明しても、私や国民には過去を正当化するものと理解される。これが客観的な現実だ」とのべています。

 侵略戦争を正当化する靖国史観は、国際的に通用しません。靖国参拝固執で、世界的孤立を深めるのではなく、中止を表明すべきです。


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