2005年6月25日(土)「しんぶん赤旗」
主張
米軍横田基地
危険大きくする「共同使用」
東京には横田基地をはじめ八つの米軍基地があります。首都に外国軍基地をおく異常は早期に解消すべき重大問題です。しかし、日米両政府は、米軍再編協議で、日米共同使用や米軍・自衛隊の一体化などで合意し、具体化をめざしています。
横田基地の恒久化をすすめる合意は、都民が願う早期返還の道に逆行しています。
基地被害は激化
日米両政府の合意は、横田基地(福生市など)に、東京都府中市にある航空自衛隊航空総隊司令部を移転し、横田基地を日米で共同使用することなどです。これは、横田基地の機能を飛躍的に高めるものです。
横田基地にある米第五空軍司令部は、三沢基地の対地攻撃用戦闘機部隊と嘉手納基地の要撃戦闘機部隊を指揮下においています。これらの部隊は航空遠征部隊としてイラク戦争に参加しました。航空自衛隊航空総隊司令部は全国の航空戦闘情報を集約しています。横田基地に移転すれば、第五空軍が航空自衛隊の情報を即座に掌握し、米軍の航空戦闘作戦に役立てます。航空自衛隊の輸送部隊の移転も検討されており、米軍の航空輸送能力をつよめます。米空軍と航空自衛隊の横田基地共同使用は、米第五空軍の機能を強め、アメリカの先制攻撃戦争を後押しすることになるのはあきらかです。
さらに、滑走路や格納庫などの補修・整備、基地警備などを自衛隊に負担させることも、共同使用のねらいのひとつです。もともとこれは、日本に負担拡大を押し付けるために米軍の側からもちだしたもので、米軍は、「日本の管理下で米軍はテナントになるべき」(二〇〇四年、グレグソン米太平洋海兵隊司令官)とまで言っています。
横田基地の機能強化は、都民の痛みを大きくします。在日米軍の発表によれば、横田基地が航空管制した米軍機の飛行回数は、五万六千回(〇四年)。その大部分は横田飛行場を離発着しています。一日に延べ八十機が離着陸している勘定になります。厚木基地の米空母艦載機がNLP(夜間離着陸訓練)を実施することもあります。軍用機の進入経路にある昭島市や瑞穂町は、昼夜を問わず、爆音で苦しめられています。立川市でも爆音被害は深刻です。自衛隊の航空機部隊の移転によって、さらに爆音被害は増えます。飛行中に軍用機の部品を落とす事件も増加するでしょう。
一方、横田基地の軍民共用の構想もありますが、基地の存続・強化を前提にしたもので、基地恒久化につながります。軍用機の飛行回数が激増するのをそのままにして、民間機を飛行させれば騒音はさらに激増、多数の周辺住民を苦しめます。
早期返還の実現を
都民が願う平和と安全の首都東京をつくるためには、横田基地の早期返還を実現する以外にありません。
軍民共用では、民間利用という面に期待する自治体もありますが、昭島市、立川市、瑞穂町は、はっきり反対しています。しかし、基地の返還は、ほぼ共通した願いです。「従来から全面返還を基本姿勢」(武蔵村山市長、〇五年施政方針)、「広域的な都市整備が可能となることから望む」(羽村市、九九年自治体アンケート回答)、「基地返還については望んでいる」(同)などと表明しています。
横田基地の機能強化と恒久化の日米合意は、周辺自治体と住民の願いに反します。「早期返還」を正面にすえて日米交渉すべきです。