2005年6月22日(水)「しんぶん赤旗」

石原都政批判強めるが…

生活者ネット 都議会での実態は

05 東京都議選


 東京都議選(24日告示、7月3日投票)に向け、ローカル政党の東京・生活者ネットワークが石原慎太郎都政への批判をにわかに強めています。「オール与党批判を繰り返し、自分ばかりが正当だと主張する会派がある」と暗に日本共産党を攻撃し、「生活者ネットは知事与党ではない」(19日、大河原雅子都議=世田谷区)とのべています。では、生活者ネットは都議会で石原都政にたいし、実際にどんな態度をとってきたのか――。

石原問責決議案の上程

自・公・民と反対

 生活者ネットの各候補は、石原知事の乱暴な都政運営について、ビラなどでも「知事の責任は重大」(執印真智子都議=日野市=)と宣伝し、あたかも知事批判の“急先ぽう”のような顔をしています。

 しかし、生活者ネットは、石原知事の責任を問うために日本共産党が提出した石原知事問責決議案に、自民、公明、民主各党とともに反対し、本会議への上程すら認めませんでした。知事問責決議案をつぶしておいて、どうして「知事の責任は重大」などと言えるのでしょうか。

 もともと生活者ネットは、石原知事の「命がけで憲法を破るんだ」という憲法否定発言、「あしき有害なものはババア」という女性蔑視(べっし)発言などの相次ぐ暴言に抗議さえしませんでした。憲法や民主主義にかかわる重大な知事の政治姿勢に、ダンマリを決め込んで容認してきたのです。

 石原知事を批判するなら、浜渦武生副知事をめぐる都政混乱問題で、浜渦副知事の問責決議に唯一反対し、もっとも石原知事―浜渦副知事を擁護してきた民主党と、なぜ生活者ネットは選挙協力をするのかも、鋭く問われます。

 生活者ネットは、民主党公認候補のうち十二人を推薦し、民主党も生活者ネットの公認候補のうち七人を推薦しています。各地で民主党からの応援をうけ、生活者ネットの候補者のビラやリーフレットには、民主党国会議員の顔写真まで掲載されています。

シルバーパス

全面有料化に賛成

 生活者ネットは、石原知事“批判”につづいて、にわかに“福祉擁護派”のポーズもとり出しました。六月議会が終わっての談話では、「住民税だけに留まらず、国民健康保険料や介護保険料、シルバーパスなども負担が増額されることになる」と、年金課税の強化など小泉内閣の負担増路線に端を発する都民の大負担増を批判しはじめています。

 しかし、シルバーパスを一つとっても、生活者ネットは、自民、民主、公明各党とともに、全面有料化に賛成しているのです。二〇〇〇年三月議会での有料化条例の採決で、反対したのは日本共産党だけでした。

 たとえば、年金課税の強化によって、シルバーパスが一挙に千円から二万五百十円に値上げされる問題では、日本共産党の渡辺やすのぶ都議(足立区)が、三月一日の代表質問で、「シルバーパスや都営住宅家賃などの都民の負担軽減を図るための具体策を講じる必要がある」と追及。幸田昭一福祉保健局長は、値上げを被るお年寄りが七万七千人にものぼることを初めて明らかにし、「今後、税制改正の動向などをふまえ、慎重に対処していく」と答弁するところまで追い込んだのです。

“福祉切り捨て”計画 

「着実に実行を」

 もともと、生活者ネットは、一般会計予算にすべて賛成し、福祉切り捨ての大本となった財政再建推進プランにも賛成してきました。

 シルバーパスの全面有料化や老人医療費助成、老人福祉手当の廃止などを狙った「財政再建推進プラン」には「財政再建推進プランの達成率は93・7%という成果を上げた」(〇三年七月一日、大河原都議)と絶賛。保育などの補助金や私学助成などの廃止、切り下げを打ち出した「第二次財政再建推進プラン」にも「おおよそ適当なものである」(〇三年十二月九日、藤田愛子都議=杉並区)「第二次財政再建推進プランを着実に実行していくことが重要と考える」(〇四年九月二十八日、大河原都議)とのべるほどです。

 二月二十八日に放映された民放テレビ番組での各党幹事長討論会でも、藤田愛子幹事長は「ある意味では福祉というのは、実際には市区町村の役割になっている」と、福祉分野での都の責任の縮小まで主張しています。

 こうした立場から、廃止された老人福祉手当の「復活」にも反対。日本共産党が、三月提案した月一万円の介護手当の創設や老人医療費助成の存続を求める条例案や条例改正案にも反対しました。

 都民から批判をあびている豪華海外視察の問題でも生活者ネットは、視察に参加している自民、民主、公明の各党に同調し、「視察先と費用のみで無駄と批判するのは問題」と海外視察を弁護しています。

 都議選を前に、生活者ネットが野党ポーズを強めても、都議会での実際の行動をみれば、悪政推進の「オール与党」の一員であることは歴然としています。


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