2005年6月21日(火)「しんぶん赤旗」

米のイラク侵略を裁く

23日から世界民衆法廷

12カ国活動締めくくる

トルコで開廷


 イラク戦争・占領を民衆の立場から裁く「イラク世界民衆法廷」が二十三日から二十七日までトルコのイスタンブールで開かれます。同法廷は、日本を含む世界十二カ国ですすめられてきた民衆法廷を締めくくる法廷となります。

 同法廷では、米サンタバーバラ大学のリチャード・フォーク教授(国際法)、英国の国際法学者で国連人権高等弁務官事務所顧問のクリスチン・チンキン氏ら世界の著名な法律家や人権活動家が検事団となり、イラク戦争・占領の犯罪をメディアの責任や文化遺産・環境・資源の問題を含め、広範に裁く予定です。

大統領を告発

 「イラク世界民衆法廷」は平和を願う世界の市民がイラク侵略戦争を起こしたブッシュ米大統領、ブレア英首相などの戦争犯罪を告発しようというもので、二〇〇三年三月の戦争開始とほぼ同時に取り組みが始まりました。

 同法廷は、同年五月に「ジャカルタ平和合意」を採択したインドネシアでの平和会議や、バートランド・ラッセル平和財団が同年六月に組織したブリュッセルでの会議のほか、ベルリン、ジュネーブ、パリ、カンクン(メキシコ)などで開かれた反戦会議で支持されました。

 同法廷の活動は、同年十月にイスタンブールで「世界民衆法廷」の諸原則にかんする文書の採択で本格化。同年十一月のロンドンでの法的調査委員会開催をはじめ、公聴会・公判がインド、デンマーク、ベルギー、米国、イタリア、ドイツ、トルコ、日本、スウェーデン、韓国、スペインなどで開かれてきました。

 翌〇四年五月にニューヨークで開かれた公判には弁護士、反戦活動家、人権団体代表、アラブ系住民代表など数百人が参加しました。同公判で発表された陪審員声明は「すべての国際的基準からして占領は不当」「ジュネーブ条約などの国際人道法に違反」と糾弾しました。

有罪判決下す

 日本では「イラク国際戦犯民衆法廷」(ICTI)が〇四年七月に京都で開かれたのをはじめ、広島での公聴会(同年十月)、東京での公判(同年十二月)を経て、今年三月に最終公判が東京で開催されました。ブッシュ大統領、ブレア首相両被告に対し「侵略の罪」「戦争犯罪」で有罪の判決を下しています。同公判は小泉首相についても両被告の犯罪の共犯としています。

 「イラク世界民衆法廷」には日本から前田朗ICTI共同代表(東京造形大学教授)を団長に弁護士ら十四人が参加します。 (伴安弘)


 民衆法廷 平和を願う一般市民が、事実に基づき現代国際法の水準に立った論理で、侵略などの戦争犯罪などを告発する法廷。法律や国際機関決議に基づく裁判とは異なり、その判決は強制力をもちませんが、戦争犯罪を告発し、平和を守る世論をつくり上げるのに貢献しています。ベトナム戦争での米国の戦争犯罪を裁いた「ラッセル法廷」(英国の哲学者ラッセルと仏哲学者サルトルが裁判長)などが有名。


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