2005年6月12日(日)「しんぶん赤旗」
'05 東京都議選
24日告示 7月3日投票
豪華海外視察 やめるか続けるかが問題です
「税金で旅行をするような『おごり』をもたないでほしい」。二十四日告示の東京都議選(七月三日投票)では、自民党、民主党、公明党の都議がおこなった海外視察という名の「豪華税金旅行」によるむだ遣いを許すかどうかが、大きな争点となっています。
中野区でのアンケート
区民の怒り 続ぞく
日本共産党中野地区委員会に寄せられた百六十一通のアンケートはがきの七割が豪華海外視察の中止を求めています。
「自民、公明が実際に行っているならば選挙は応援できない」「都議になったとたん遊び人になるとは…」「はらわたが煮えくりかえる思い」「インターネットでわかる情報は最大限利用すべき」「結果が不明、単なる観光としか思えない」
中野区では定数四に、日本共産党一、自民党二、民主党二、公明党一の六人が立候補を予定しています。このなかで、豪華海外視察の中止を堂々と訴えているのは、日本共産党の植木こうじ前都議だけです。
植木前都議は、都議時代に海外視察の中止を求め、一九九七年からいったんは中止させたことをあげ、「都議選に勝利して、再びむだ遣いをやめさせるために働きたい」と訴えています。
これに対し、公明党の支持母体である創価学会員が各所で「うそつき」などと叫び、ハンドマイクで訴える後援会員を数人が取り囲んで宣伝を妨害する事態も生まれています。
これが視察の実態
最高級のホテル、食事
豪華税金旅行に参加した政党
※7日から10日間の日程で |
日本共産党東京都議団は、五月十日の記者会見で、豪華海外視察の実態を明らかにしました。
それによると、二〇〇一年以降、自民四回、民主四回、公明一回と、四年間で合計九回、三十八人の都議が参加。七日から十日間の日程で一人あたり平均百四十八万円、最高は民主党の二百十八万円でした。
最高級の五つ星ホテルでの宿泊、フルコースの食事。航空機はビジネスクラスを利用し、ヨーロッパ視察では一人平均八十四万円もかけています。往復割引券を購入すると三割程度割り引かれますが、ほとんど利用されていません。
添乗員などの経費も、日本の添乗員の費用の二倍から五倍の高さです。たとえば平均月収が一万円前後のベトナムでは、現地添乗員と通訳の費用として一日六万円も支払われたことになっています。節約しようという観点もまったくありません。自民党の視察を密着取材した民放テレビも「典型的な観光コースを回った」と報道しました。報告書の内容も、日本で調べればほとんどわかることばかりで、わざわざ海外にいく必要のないものでした。
日本共産党の態度
繰り返し中止求める
日本共産党都議団は、都民の批判の強い海外視察の抜本的見直しをくり返し提案し、一九九三年以降、海外視察への参加をとりやめてきました。九五年に都議会で、「海外視察が都民の生活感覚からかけ離れている」と中止を主張。都民の批判が強まるなか、九七年に全会派で自粛が確認され、事実上四年間中止になりました。
ところが、「都議会のあり方検討委員会」は二〇〇一年、日本共産党の反対を押しきり、自民党、公明党、民主党、生活者ネットが賛成し、〇一年度からの会派別の海外視察をおこなう方針を決めました。このとき、日本共産党は「会派として行くなら、政務調査費でおこなうべきだ」と主張し、反対しました。
日本共産党は、復活した海外視察について繰り返し中止を求め、ことし二月には「都議会の改革に向けての提案」を発表し、海外視察を再検討するよう要求。五月には、海外視察のむだ遣いを告発し、ただちにやめるよう求めました。日本共産党は、都議会の友好都市交流についても、公式行事以外は私費負担にするなど改善を提案、二〇〇一年の北京・ソウル訪問は費用も三分の一に引き下げています。
豪華海外視察問題での日本共産党の態度
|
開き直る自・公・民・ネット
“豪華は当たらない”
公明 「自粛」宣言 どこへやら
自民党、民主党、公明党は「豪華『旅行』という言い方は、全くあたらない」と開き直っています(五月二十五日の記者会見)。生活者ネットも「視察先と費用のみでムダと批判することは問題です」と、豪華海外視察に賛成し、自民、公明、民主をかばっています(同日の談話)。
豪華海外視察批判への「反論」の急先ぽうに立っているのが公明党です。同党の長橋桂一都議は九日、豊島区での公開討論で、「(海外で)見るべきものは見ることが必要だ」と海外視察を続けるのは当然という姿勢を示しました。
ところが、公明党は、二年前のいっせい地方選挙を前にした、〇三年一月十八日の公明党全国県代表協議会で「議員の海外視察を党として自粛する」と決定しています。そのうえ、「(公明党の)主張を受け都議会は翌九七年三月、海外視察の中止を決定した」(公明新聞〇三年二月十九日付)と自分の“実績”として宣伝までしました。
このとき、公明党を支持する創価学会の聖教新聞は「公明党『海外視察の自粛』を決議」「『遊び半分の海外視察』を全廃せよ!!」(二〇〇三年二月六日付)と大見出しで幹部らの「座談会」を掲載しました。「まったくの『税金泥棒』だ。国民はバカバカしくて、税金を払う気にもなれないよ」(同)。この言葉は、「自粛」と公言しながら、海外視察を弁護し続ける公明党にふりかかってくるものです。
日本共産党の志位和夫委員長は四日の「躍進のつどい」で、九七年の都議選で日本共産党が躍進した際、いったんは中止させた海外視察を、二〇〇一年の都議選で党が後退したときに「オール与党」が会派ごとに行くという悪い形で復活させたと指摘して訴えました。「このむだ遣いをきびしく追及してきた共産党をのばして、豪華海外視察をきっぱり中止に追いこもう」
「東京民報」6月号外できました
「東京民報」六月号外ができました。タブロイド判でカラー刷りの四ページ建てです。
一面は自民、民主、公明三党の都議が実施した豪華海外視察問題を告発。自公民各党が「豪華でない」と開き直り、生活者ネットがこれらの党をかばい、「オール与党」が中止させる立場にないことを批判し、「力をあわせてムダづかいをやめさせよう」としています。
二、三面では、(1)三十人学級(2)小中学生までの医療費無料化(3)月一万円の介護手当(4)シルバーパスの負担軽減(5)老人医療費助成の充実―などの緊急・最小限の都民要求を掲げ、「日本共産党の議席がふえれば、この願いの実現に道が開けます」と、財源なども示しています。あわせて、都民要求の実現に背を向ける都議会「オール与党」を批判しています。
四面は、福祉・くらしを削る一方で、臨海副都心開発に二兆円もつぎ込む石原都政と都議会「オール与党」のムダ遣いや、政務調査費の領収書添付の義務づけを拒否する自民、民主、公明の各党を告発し、「日本共産党の議席をふやしてムダづかいをやめさせましょう」と訴えています。