2005年6月12日(日)「しんぶん赤旗」

米軍の女子中学生れき殺から3年

捜査記録の公開実現

市民団体「真相隠されていた」

韓国


 在韓米軍の車両がソウル近郊の一般道路で二人の女子中学生をれき殺した事件から、十三日で三年がたちます。米軍事法廷が車両に搭乗していた米兵二人に無罪判決を下したあとも事件の真相究明活動を続けてきた市民団体「平和と統一を開く人々(サラムドゥル)」(平統サ)は十日、公開された当時の捜査記録の検討結果を発表。「事件の真相がわい曲、隠ぺいされていた」と主張しました。

 この検討は、韓国最高裁が五月二十七日、事件の捜査記録を公開するよう求めた「平統サ」の訴えを認める判決を下したことで実現しました。判決は、公益に必要な場合は捜査記録を公開できるとする刑事訴訟法を適用。「公開すれば外交関係に悪影響を与える恐れがある」とする議政府市の地検の主張を退けたものです。

 議政府地検は、最高裁判決を受け、議政府地検の独自捜査記録、米陸軍犯罪捜査隊が地検に渡した捜査記録、事件に対する議政府地検の法律検討記録の複写を「平統サ」に手渡しました。

「共謀」と強調

 記録を検討した「平統サ」は、「女子中学生は運転兵の死角に入っており、通信兵との無線装置に障害が生じたため事故を避けることは困難だった」とする当時の地検と米軍の主張が、捜査記録に残されている十数人の米兵の陳述書の内容と矛盾すると指摘。「米軍と検察が事件の真相の隠ぺいを共謀した」と強調しました。

「過失」を指摘

 事件を起こした車両を含む米軍の車列が別の米軍車列とすれ違ったために、道路わきを歩いていた女子中学生をれき殺する結果を招いたことも、捜査記録から立証できるといいます。「平統サ」は、先導車両の中隊長が前方を歩く女子中学生を認識していたにもかかわらず、後続車両に注意を促さなかったことは重大な過失だと指摘しました。

 一方、ソウル地方裁判所は同日、事件後に「平統サ」が主催した抗議集会は違法だとして関係者四人に懲役十月から一年六月の実刑を宣告。「殺人は無罪で真相究明は有罪か」と批判の声が上がっています。

 「平統サ」など市民団体は十三日、ソウル中心部の米大使館近くで、三年前にれき殺された二人を追悼する「ろうそく大行進」を予定しています。(面川誠 写真も)


 女子中学生れき殺事件 二〇〇二年六月十三日、韓国・京畿道の楊州郡の公道で移動訓練中の米軍車両が、友人の誕生パーティーに向かっていた女子中学生、申孝順さんと沈美善さんをれき殺。議政府地検が捜査を担当。韓国政府は在韓米軍に刑事裁判権放棄と米兵の引き渡しを求めましたが、米軍は地位協定を盾に拒否。十一月に米軍事法廷は運転兵と通信兵に無罪判決。


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