2005年6月6日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

道路計画で揺れる「下北沢」 東京

若者が反対ライブ

歩いて楽しい この街が好き


図

 演劇や音楽、ファッションの町として知られる「下北沢」(東京・世田谷区)が、街づくりをめぐり大きく揺れています。幅二十メートルを超える大型道路が、街を東西に貫く計画が進んでいるからです。長年、街づくりを考えてきた地元では賛成、反対などさまざまな意見があります。若者たちからは、大型道路建設中止を求める声があがり、五月末にはチャリティーイベントを開催しました。(藤川良太)

 飲食店を会場に先月二十一日、チャリティーイベント「SAVE THE 下北沢 NIGHT vol1」が行われました。二十代や三十代の三百人を超える男女でぎっしり。道路建設反対などを呼びかけ、署名活動などを行ってきた「Save the 下北沢」が主催しました。

■著名人も賛同

 同会の賛同者には、音楽家のフジ子・へミングさんなど著名人も名を連ねます。

 イベントでは、下北沢を中心にライブ活動などを行っている元サニーデイサービスの曽我部恵一さんや女性三人組のバンド「素(もと)」が演奏。合間に道路建設反対の意思を表しました。

 曽我部さんは、ギターを弾きながら会場を一周し、「今夜みんなに伝えたい。下北沢のみんなに愛のメッセージ」と歌詞を変えて熱唱。歌と歌の間には、壇上がわりのビールケースの上に立ち「今日の趣旨知ってる? 道路建設反対」と呼びかけました。

 バンド「素」は、普段音楽活動をしている下北沢の飲食店を紹介。太鼓担当の中ムラサトコ↓さんは「道路は要りません」と語りました。参加者は、拍手で応えました。

 「下北沢を救おう!」などと書かれた一個三百円の缶バッジ百五十個も完売しました。

■人のための町

 イベント終了後、道路建設反対の署名をしていた男性(21)と女性(26)のカップルは、「わざわざ道路をつくるなんてもったいない。車が通らず、ゆっくり歩け、迷いながら楽しめる町がなくなる」(女性)「下北沢は車のためじゃない、人のための町」(男性)といいます。

 曽我部さんのファンで、この日初めて道路建設問題を知ったという女性(23)は「古くて良いものがなくなっていく。車を持っていないから、歩くだけで楽しくなれるのがいい。(道路は)必要性を感じない」と話しました。

 同日、「下北沢」がテーマの映像を集めた「シモキタ映像祭」も開かれ、トークショーが行われました。俳優の故松田優作さんがよく訪れたジャズバー「レディー・ジェーン」のオーナー大木雄高さんら三人が、下北沢とのかかわりなどについて、鼎談(ていだん)しました。

 大木さんは、「近くの北沢川は工事で一回ふたをしてまた開けた。川ならできるけど、町は一回つぶしたら戻すのは難しい」と語りました。


街の魅力にダメージ 話し合える場が必要

 Save the 下北沢・金子賢三代表(41)=北沢四丁目在住=の話 私たちは大型道路(補助54号)の建設中止、それに伴う駅前広場計画(区画街路10号)の見直しを主張しています。

 下北沢の魅力は「歩いて楽しめる街」。小さい店が集積し、「ごちゃごちゃしていて面白い」「万華鏡みたい」という表現でほめられることがあります。

 家賃は銀座などと比べても安くありませんが、小さい店でも自分オリジナルの物を売りたいという人が、夢を実現させるために集まっているためだと思います。それが下北沢を面白くし、魅力となり客を集めています。

 54号は、そんな場所をつぶすだけでなく、「シモキタ」の魅力に大きなダメージを与えます。

 都や区は「54号ができれば防災に役立つ」といいますが、区が消防活動が困難な地域と指摘した場所は54号と触れ合っていません。行政は、54号がどう防災に役立つのか具体的に示してほしい。私たちは近日中に、代案を発表する予定です。

 街づくり懇談会が、長い時間をかけ下北沢のことを考えてきたことは知っています。その懇談会も含め、行政もちゃんと認める、さまざまな意見を持った地権者や地域住民が話し合える新しい場が必要です。


下北沢の再開発問題

 今回、問題になっているのは(1)小田急線の地下化によりできる広い空間の駅前広場計画(区画街路10号)(2)広場につながる道路(都市計画道路・補助54号)の建設(3)建物の高さを規制するなど町づくりのルールを決めた地区計画−の3つです。

 小田急線の地下化は開かずの踏み切り対策で長年、地域住民が求めてきたもの。それに伴う形で世田谷区は、駅前ひろば計画(区画街路10号)を決定しました。計画ではバスやタクシーが停車できるスペースを確保。ロータリーをつくります。

 その広場につながるのが最大幅26メートルある幹線並みの道路(都市計画道路・補助54号)。町を東西に横断します。この道路計画は、1946年に戦災復興院告示で決定。その後、数回の計画見直しを経て今年度中に事業認可を目指しています。

 この2つの道路が完成すれば、「街の中心部に車が入ってくる」との懸念の声も上がっています。一方、駅に直結するバスがなく、雨の日などに荷物を持ったお年寄りが困っているとの意見もあります。

 区は、広場や道路の計画を合わせて地区計画素案を作成。道路が広くなると建築基準法上、高層ビルの建設ができるようになり、そのため区は規制を設けるとしました。しかし、同計画では、17階建てに相当する60メートルの高さの建物を建てられる場合があります。

 3つの中で、特に争点になっているのが、補助54号の建設計画です。駅周辺の商店街の人たちは、20年間以上にわたり、鉄道の地下化と駅前広場の建設を求めてきました。54号は、これに合わせる形で計画が進められています。そのため地元では、「地下化や駅前広場のためなら仕方がない」との声も上がっています。


お悩みHunter

正社員辞めて派遣に一生このままか不安

  商社の正社員として営業の仕事を一年半。職場には監視カメラがあり、成績が上がらないと「顔が悪いからだ」といわれ、悩みました。そんな会社に見切りをつけ、現在、派遣社員として働いています。フリーターへの世間の目は「甘えている」などと否定的な評価しかされません。一生フリーターでいることも不安です。(23歳、男性。神奈川県)

若いのだからあせらずに

  あなたの悩みは、現代社会の大きなゆがみを表しているように感じます。同じように苦しんでいる若者が、たくさんいるのではないでしょうか。

 フリーターを見る世間の目は、おっしゃる通りだと思います。でも、私はそうは思いません。いまの企業は、正社員を控え、フリーターや派遣社員を採用するやり方です。フリーターが増えるのは当たり前ですね。

 正社員になっても、あなたの経験のように容赦なく働かされ、いじめられる。職場が大変で、うつ病になる青年も増えているそうです。根本的には、あなた一人で解決できる問題ではないと思います。

 フリーターでいることへの不安があるという、あなたのお気持ちはよくわかります。正社員のときの傷も、まだ癒えないと思います。もう少し時間が必要なのかもしれません。若いのですから、あせらずに正社員の道をめざしてください。

 私は近いうちに沖縄県名護市の辺野古に行ってみようと思います。そこには、自然を守るために基地建設に反対し四百日以上もの間、非暴力で座り続けている沖縄のおじい、おばあたちがいます。そのおじい、おばあたちに会い、自然を体験したいと思っています。きっとそこには、現代社会を生きる勇気とヒントがあるような気がします。そんな体験もお勧めします。


 舞台女優 有馬理恵さん 「肝っ玉お母とその子供達」など多くの作品に出演。水上勉作「釈迦内柩唄」はライフワーク。日本平和委員会理事。


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